【インタビュー】プッシュプルポット、まだ見ぬその先へ。4人と観客で育て、磨き上げた新作『願いの花束』が初期衝動と新たなフェーズを同時に鳴らす - photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)

【インタビュー】プッシュプルポット、まだ見ぬその先へ。4人と観客で育て、磨き上げた新作『願いの花束』が初期衝動と新たなフェーズを同時に鳴らす

ツアーでやりながら、部屋で作ってる曲にお客さんの熱が入り込むことによってひとつの作品になるようなものを作りたいなって気持ちが強くなった

──“未完成”は《フィクションのハッピーエンドに/心揺らし聴いていたそんな夜もあったな》と言ってしまう、問題作というか。明神 すごいっすよね。俺はこういうアンチテーゼこそロックの本質だと思ってます。山口 思ってもないことを歌うのがキモすぎて嫌だなと思って。この曲は「未歓声ノ音」ツアーの後半戦ぐらいから(セットリストに)入ってきたんです。ツアーでやりながら、部屋で作ってる曲にお客さんの熱が入り込むことによってひとつの作品になるようなものを作りたいなって気持ちが強くなって、書きましたね。──自分たちはノンフィクションでありたい?山口 いや、別にそんなこともなくて。フィクションを歌ってもいいけど、思ってもないことは絶対に歌いたくないっすね。──たとえば、どんなことがあります?山口 なんだろう⋯⋯ゲスい話しか出てこないな(笑)。桑原 働きたい、とか?一同 (笑)。山口 あ〜、そんなんは歌わないっす(笑)。好きなこと、やってるだけだから。明神 “バカやろう”で全部答えが出てるもんな。──世間の流行を狙うみたいなこともしたくない。山口 それはあんまりしたくないです。自分が歳を取ってかっこ悪いなって思う曲って、ぶっちゃけ黒歴史じゃないですか。そういうのは作りたくないっすね。──でも、その時に本気で思ったことであれば⋯⋯。山口 子どもの頃の落書きみたく懐かしく思えるんでしょうけど、あからさまなのは嫌ですね。それに、もしそういうのを書いたら「どうしたん?」って、メンバーも勘づくと思う。
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──“君がくれた痛み”はいろいろ考えさせられる曲でした。喜びを手にすればそれを失う不安も同時に生まれてくるという。人生は等価交換なのかもしれないけど、だったら幸せが51で、悲しみが49に落ち着いてくれないかなと思ったり。山口 ありがとうございます。──これは書きたかったテーマだったんですか?山口 いや、ふと浮かんできましたね。明神 歌詞の相談をすごく受けたのがこの曲で、最初にできたものを読んで、「もっと言いたいことはこれじゃない?」と精査するみたいなことをしました。ぐっち(山口)は死ぬとか生きるとかをワードとしてよく使うんですけど、俺はそういう単語を使わずに死生観を歌うほうがいいんじゃないかと。でも、ぐっちはストレートに伝えたいというのがあって、そのぶつかり合いが結構ありましたね。──印象的なやり取りとしては?明神 最初、《終わってしまえと願う日々に》という表現はなくて。でも、死んでもいいと思うことはどういうことなんだと深掘りした時に、これが出てきたんですよね。──よりよくするためのディスカッションもあるんですね。山口 自分の色が薄くなるのは嫌だけど、バランスは大事にしてる。他にも各々でそういうことはしてて、堀内とは「コードやメロディはこっちがいいよね」とか、拓也とは「俺がこうだからリードはこう」みたいな、ギタリスト同士の話をしたりします。──ツアーで披露していなかった“悪あがき”を入れようと思ったのは?山口 さすがに4曲だと少ねえなと思って(笑)。ただ、しっくりこないのが多くて、曲合わせのスタジオの日に「ちょっと2時間くれ」ってメンバーに伝えて、そこでバーッと書いて、ドキドキしながら持って行って。──切羽詰まった山口さんの「悪あがき」の曲でもある。山口 そうっすね。もう頭がパンクして「いいって何?」みたくなってたんで(笑)。──曲としてはストレートに、やるしかねえだろと突きつけています。プッシュプルポットは、ここぞという場面は必ず乗り越えてきました?山口 いやいや、そんなことないですよ。明神 挫折と失敗の繰り返しで。山口 いざという時は急に本気を出すけど、そうじゃない時は意外と見落としてきたかなと思ってます。でも、毎日がターニングポイントだと思って過ごさなきゃいけない。曲を作ったうえでそう思いますね。──昨年インタビューさせていただいた時、楽しいだけじゃダメだ、その先を考えなきゃいけないと話してましたが、そのあたりは今どうですか?明神 そこはずっと課題ですね。山口 ライブ一本の取り組み方でも⋯⋯たとえばですけど、楽屋が狭いからストレッチをやらんとこ、ってなった時に声が出なかったとして、「それ、武道館でも言えるの?」みたいな。常にギリギリのところに立ってて越えなきゃいけない毎日だろうし、やっぱ、そういう積み重ねなのかなって。でも、それも楽しくなってきたっすよ。
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全員の感情が揺さぶられるライブがしたいというより、自分らがまだやったことのないライブがしたい。いいのは当たり前で、その先へ行きたいんですよ

──10月からはリリースツアーも開催されます。まず「誰よりも近くで」というツアータイトルがめっちゃいいですよね。堀内 “どうか”の歌詞から取ったんですけど、「ピッタリだよな」と思いました。──これだけでバンドの全部が伝わりますよ。そんなツアーではどういったライブをしていきたいですか?山口 全員の感情が揺さぶられるライブがしたいというよりは、自分らがまだやったことのないライブがしたいな、と思ってます。いいのは当たり前で、その先へ行きたいんですよ。堀内 タイトル通りのツアーができたらなと思うんですよね。これまで楽曲の幅を広げたり、やれるようになったことを表現していった結果、かしこまった感じの曲がちょっと増えてきて、ライブも初期衝動感が減っちゃった実感もあって。だから、そこを取り戻しつつ、さらに超えるようなライブがしたいです。桑原 今の熱量を全面に出して、ツアー全部を駆け抜けたいですね。あと、最後の金沢EIGHT HALLも、東名阪のクアトロも、他のライブもとにかく全部売り切りたいですね。明神 最近、「元気ないの?」ってお客さんから思われることがあって。──えっ!? あれだけ熱いライブをしてるプッシュプルポットが?山口 (Xに)そんなポストがあったんですよ。でも、それはレコーディングと「未歓声ノ音」ツアーで疲れすぎてて、それが顔に出てただけだったというか(笑)。明神 ぐっちが「そんなことねえから。全然元気だから」って否定したんですけど、このツアーで勢いが落ちてないことを見せたいですね。──これから先について、ずっとライブハウスの距離感でやっていきたいという気持ちはありますか?山口 もちろん、ずっとライブハウスでやっていきたいんですけど、そこに固執してるわけでもなく、アリーナだったりフェスだったり、もちろんいっぱい出たいと思ってる。──両方を自由自在に行き来できるのが理想というか。明神 デカいところでやったりして、ライブハウスに帰ってきた時に「あんたらのおかげでああいうところでやれるけど、俺らは変わってないよ」って、心が離れてない状態でそう言えたらなと思いますね。
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