RADWIMPS@Zepp Tokyo

RADWIMPS@Zepp Tokyo
メッセージ性だけじゃない。演奏技術だけでもない。4人の練り上げられた鉄壁の結束力で、バンドとして様々な表現を難なくみせつけ、一丸となってツアー=人生を駆け抜けるRADWIMPSの姿があった。今の彼らが、バンドとして、キャリア最高の輝きを放っているのは疑いようもないだろう。2月初頭にスタートした「RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継」は、〈会心の一撃編〉が全国21公演。その直後には、韓国、台湾、香港、シンガポールとアジア諸地域での公演も含む〈パーフェクトドリーマーズ編〉が23公演。5月には盟友バンド=味噌汁'sもメジャー・デビューを果たし、ツアー日程はいよいよ残すところ4本、と大詰めを迎えていた。そんなZepp Tokyo2デイズの、1日目の模様をレポートしたい。演出など詳細なネタバレは控えますが、以下本文は少々の演奏曲表記を含むので、Zepp Tokyo2日目、さらに沖縄コンベンションセンター2デイズのファイナルに参加予定の方は、閲覧にご注意を。

「そういえば、ツアー中に冬季オリンピックやってたよねえって、洋次郎と話してて。すごい前からやってるなって気がしたんだけど、言ってみるとそうでもなかった? 今はワールドカップやってるじゃないですか。セミファイナルですよ。僕らもセミファイナルですよ。セミファイナルで全力出さないで、いつ出すんだ!」という、山口智史(Dr・Cho)のナイスな煽り文句も飛び出したこの日。ド平日のZepp Tokyo2デイズとはいえ、全国のアリーナ・サイズ会場ですらガンガン沸かせてきたRADWIMPSである。都内だけでなく各地からの、果てはマニラから訪れたという来場者も含めた、みっちみちにひしめきあうオーディエンスを相手取り、息切れすることもなく、終始「楽しいなあ!」を連発しながら『×と○と罪と』を核に据えた大熱演を繰り広げていった。オープニングの演出からして度肝を抜かれたのだが、真の驚きはRADWIMPSの演奏と熱量そのものにあったと言ってもいいだろう。

RADWIMPS@Zepp Tokyo
野田洋次郎(Vo・G)が思考の深部へと掘り進める歌詞世界と拮抗するように、より精微かつ緻密な演奏を肉体化してきたRADWIMPS。それが、ツアー終盤戦の勢いと相まって、バンド・サウンドが熱をもった一個の巨大な生物として大きくうねり始める。プログラミングされた音のように正確だったかと思えば次の瞬間には生々しいコンビネーションを交え、「やっと帰ってきました東京! 残り4本なんで、悔いの無いようにやりたいと思います!」と桑原彰(G・Cho)が挨拶。その桑原の威勢の良いカウントから傾れ込む“DARMA GRAND PRIX”の最中には、野田のコールを待ってましたとばかりに武田祐介(B・Cho)も強烈なアタック感のベース・プレイをブリブリと鳴り響かせるなど、とにかく4人が4人とも「隙あらばいつでも決定的な一発を見舞ってやるぞ」という攻撃的な姿勢なのである。個々がエゴからそうしているわけではなく、あくまでもバンドとしての大きなうねりの中で、その姿勢を覗かせるのだ。驚くほどの頼もしさである。

混沌とした変態ロック・アンサンブルから、ピアノを絡めた風通しが良く雄弁なジャジー・サウンドまで、豊穣な音楽的バックグラウンドを見せつけつつステージは進む。生まれ来る子どもに微笑ましいジェラシーを燃やす男の心情を綴った“Tummy”では、武田がスティールパンで優しく温かい音色を添えていた。人生の正解と不正解を越えて、何時如何なる時も肯定されるべき命の声を導く“パーフェクトベイビー”では、山口がヴァイブラフォン→ショルダー・キーボードと八面六臂の活躍を見せて前線に躍り出て来る。自由度の高いフォーメーションで観る者を楽しませながら音楽表現に広がりを持たせるステージングは、今のRADWIMPSのバンド活動の充実をそのまま映し出す鏡でもあったろう。こちらも全編を通して激しく波打ち、歌声を上げていたオーディエンスに「その頭の中に宇宙があるんだねえ。3000個の宇宙で、はっちゃけようかい!」と言葉を投げ掛け、繰り出される圧巻の“実況中継”。遂には神様仏様のバトルまで笑いながら傍観してしまう業の深い人類ではある。で、その後にこの選曲? 更にその後にこれ? というセットリストのヤバさも手伝って、とんでもない興奮度のハイライトが生み出されてしまった。

RADWIMPS@Zepp Tokyo
完璧な熱狂の中で本編終盤に向かおうというとき、野田はこんなふうに語り出した。「なんで生きてるんですかって訊かれたら、音楽やるためです、って言えるように、これからもやっていくからさ。みんなも夢を大切にしていってください。ああそれと、さっきマニラの人とかもいたけど、香港とか行ってさあ、現地の人と会って話したら、ああこういうとこが同じだね、こういうとこが違うんだねって分かるし、学べるし……10代の人とか特に、あの国の人はこう、とか偏見を持たないでください。そういうのって本当にくだらないし……俺はこの国が好きだからさ、誇りを持っていきましょう」彼はふいに言葉を詰まらせ、涙を落としてそう語った。いざ歌に向かおうとしても、なかなかいつも通りには歌えない野田に、大合唱の助け舟を出す一面のオーディエンス。その光景は余りにも美しかった。

アンコールまで含めて20曲超。深い思考と更に鍛え抜かれた演奏スキル、そして約半年に及ぶツアーの中では新たに海外での人間味溢れる経験値を蓄積し、ひとまわりもふたまわりも大きくなってツアーのクライマックスへと向かうRADWIMPSだった。Zepp Tokyo2日目、そして沖縄でのファイナルに参加予定の方は、この一瞬たりとも気を抜く暇のないパフォーマンスに、心して掛かって頂きたい。(小池宏和)

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