WANIMA@TSUTAYA O-WEST

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先輩アーティストたちの盛大な祝福を浴び、笑顔のまま駆け抜けたステージであった。昨年11月にスタートして全34本、この4月にはファイナル・シリーズとして福岡・大阪・名古屋でそれぞれ異なるゲストを迎えてきたWANIMA『Can Not Behaved!!』ツアーの千秋楽。東京・TSUTAYA O-WESTである。

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この日、トップバッターとしてステージに立ったのはサイプレス上野とロベルト吉野。ヒップホップアクトであるにも関わらず、BBQ CHICKENSのゲストに招かれるなどPIZZA OF DEATHとは縁が深い。ターンテーブリズムの技巧がオーディエンスをどよめかせ、《ぶっかませ!》のコールを巻き起こすという掴みだ。日頃からヒップホップのライヴに馴染みのあるオーディエンスばかりではなかったが、「針も飛ぶし歌詞も飛ぶし、頭もぶっ飛んでライヴやってないと楽しくないと思うんで!」と告げ、4/1にリリースされたばかりの新作『コンドル』からは“ドリームアンセム”でスウェイを誘い、“ホッピン!”で一斉バウンスを繰り広げてみせた。

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続いては、locofrankである。木下正行(Vo・Ba)が放つ「派手に祝うぞー!!」という第一声を合図に、“voyage”からフロアは一気に沸騰、揉みくちゃになってしまう。 “reason”にかけて、メロディの掌握力がどんどん強烈になってゆく3ピースの信頼感がまた素晴らしい。「WANIMA、マジでありがとう。まさかファイナルに呼ばれるとは思ってませんでした。ちょっと前に話したんやけど、locofrank、昔から聴いてましたじゃなくて、昔は聴いてましたって。昔はコピーもしてましたって(笑)。そんな俺たちがなぜ呼ばれたのか!? 一方的に愛を残していきたいと思います!」と笑いを誘う木下。後半は更にパンク性を剥き出しにしながら曲また曲、“START”で大歓声を攫うまでのオールタイムベストな9曲を詰め込んでみせた。

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そしていよいよ、スキャットマン・ジョンのオープニングSEが鳴り響いてミラーボールが点灯。バンドロゴのバックドロップも浮上し、WANIMAの3人が姿を見せる。満面の笑みで「もー、手拍子とか要らんけー!!」と告げる松本健太(Vo・Ba)が、率先して手を叩いているのは言うまでもない。西田光真(G・Cho)が歓声の中にギターを爪弾き、次の瞬間に勢い良く跳ね上がると、“雨あがり”の高らかな歌い出しが、コンマ数秒というタイム感で一気に特大アンセムと化してしまう。続く“Hey Lady”も同様、あたかも何十年と分かち合われて来たメロディみたいな顔をして、堰を切ったような大合唱を導いてしまうのである。このグッドメロディの瞬発力こそが、WANIMAの真骨頂だ。

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至る所で人差し指が掲げられる“1CHANCE”では、《渋谷のBITCH♪》と歌詞を変えたラガヴォーカルが熱いアヴァンチュールを狙って弾ける。「初めまして、今日で最後、テイラー・スウィフトです♡」と挨拶して“We Are Never Ever Getting Back Together”を歌う恒例ネタも、さすがにファイナルだけあって見事な大合唱である。松本はここで「俺、locofrank今でも聴いてるし、大好きやから! 先輩そのへんお願いします!」「(階上の)ミュージシャン、羨ましいやろう? あとで打ち上げで、サ上とロ吉先輩と仲良くなって、インスタとかツイッターに全部上げるからな!」と告げながら、新曲のパフォーマンスへと繋げる。オーディエンスに歌のフレーズをレクチャーし、「エッチな曲」と紹介しながらも熱いエモーションが吹き上がるナンバーであった。

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「プーさんよりも、くーまーモン!」コール、そしてサ上とロ吉のお株を奪う「ホッピン!」のコールから“昨日の歌”へと傾れ込み、“BIG UP”はサイプレス上野が飛び入りしてフリースタイルラップ&ダイヴ敢行のスペシャルヴァージョンだ。藤原弘樹(Dr・Cho)は、家族の見守るステージで織田裕二“Love Somebody”をドラム叩き語り(かなりの美声)するという趣向も持ち込み、新人バンドゆえの楽曲レパートリーの少なさをエンターテイナー精神で補ってみせた。「アンコールツアーもあるし、5月は休むと見せかけて、ツアー中よりライヴします!」と藤原が告げると、披露されるのは楽曲の力だけで何度でも泣ける名曲“1106”である。

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本編は“HOME”で締め括られたが、くまモンジャージに着替えて再登場した3人に、ファンから大量の寄せ書きフラッグがプレゼントされる。その一枚を羽織って「これ、(横山)健さんがやるやつやん!」とおどけるのは松本である。このアンコールにおいても、もう一曲の新曲が披露された。WANIMAとファンの絆によって育まれたような、緊密なコミュニケーションとメッセージを込めた一曲である。WANIMAはこれからも、「歌を聴いてくれる人」の顔が見えている限り、こんなふうにたくさんの名曲を生み出してゆくのだろう。(小池宏和)

■セットリスト

・サイプレス上野とロベルト吉野 
~イントロ~
01 ぶっかます
02 よっしゃっしゃっす〆
03 ~フリースタイル~
04 やってやるって
05 ドリームアンセム
06 ホッピン!
07 SELF PRE-SURE


・locofrank
※セットリスト掲載なし

・WANIMA
01 雨あがり
02 Hey Lady
03 つづくもの
04 1CHANCE
05 (新曲)
06 昨日の歌
07 BIG UP
08 1106
09 HOME

(encore)
01 (新曲)
02 THANX
03 Hey Lady
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