ハルカトミユキ@日比谷野外大音楽堂

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今年1月に発表したマニフェストをもとに活動してきたハルカトミユキ。その集大成として、日比谷野外大音楽堂にてフリーライヴ「”ひとり×3000”」を行った。「約束のチケット」(優先入場券)を手渡ししたり、路上ライヴを行ったり、この日に向けたアプローチを欠かさなかった2人。その活動が実り、開演前の入場待機列は日比谷公園の入り口まで伸びていたし、実際、客席は満員だった。

ハルカトミユキ@日比谷野外大音楽堂
ハルカトミユキ@日比谷野外大音楽堂
照明がステージを真っ青に染めるなか、音を重ねるのはtatsu(B/from LA-PPISCH)、中畑大樹 (Dr/from syrup16g, VOLA & THE ORIENTAL MACHINE, YakYakYak, peridots)、松江潤 (G/from 誰でもエスパー)、佐藤亮 (G/ex.onsa)というサポートバンドの面々とミユキ(Key・Cho)の5人。そのあとハルカ(Vo・G)が登場。手を振り抜けながらステージを駆け抜けスタンバイ。バンドの音が止んでから「去年は曲が書けなくて1人部屋にこもって苦しんでいた時期がありました」と語り始める。「つらいときもずっと応援してくださったみなさん、私たちを新たに知って足を運んでくださったみなさん、ありがとうございます。ハルカトミユキ、新たなバンド人生のスタートとして全力で演奏します。普段下を向いて靴ばっかり見ているみんな、今日だけは一緒に星空を見上げましょう!」――雲一つない紺色の空に、1曲目“Vanilla”がゆっくりと溶けていく。

ハルカトミユキ@日比谷野外大音楽堂
ハルカの歌とミユキのキーボードのみで演奏された冒頭にグッと引き込まれた“ドライアイス”。事前公開していたセットリストには入っていなかったものの、ファンから募った「野音で聴きたい曲投票」で2位になったため急遽演奏された “シアノタイプ”。“嘘ツキ”ではオーディエンスが点灯させたスマホのライトがゆらゆらと揺れ、この日ならではの特別な演出で会場を彩った。この日最も印象に残ったのは、スッキリとした表情を浮かべるハルカの姿や、音に身を委ねながら身体を揺らし、ときにはステージ前方でハンドクラップを煽っていたミユキの姿。そして感情を前面に出しながら演奏する2人だからこそ生み出せたハイライトが“肯定する”だった。懸命に命を燃やす者が鳴らす「孤独」だからこそ、「ひとり」でしかないあなたの存在を全肯定する力を持つのだ。真っ白な照明はハルカとミユキが客席へ伸ばした腕と、オーディエンスがステージへ伸ばした腕を強く照らす。ステージと客席だから物理的な距離はあるが、それでもあのとき、2つの手のひらと3000の手のひらはピッタリと重なっていた。アウトロ、ハルカと中畑が同時によるダブルドラムの力強い響きが余韻を残していく。

ハルカトミユキ@日比谷野外大音楽堂
プロジェクションマッピングによりステージ一面に星が映し出された“宇宙(そら)を泳ぐ舟”のあと、「上を見てみてください。星、見えてますか?」とハルカ。みんなで空を見上げるとそこには星空が綺麗に広がっていた。ここで2人は新たなマニフェストを発表。「毎月新曲発表」を2016年春まで続行、この日の模様を12月23日にCD化、初の全国ツアーを開催、そのツアーファイナルとして2016年9月24日に再びこの野音でワンマンライヴを敢行――という内容に客席からは驚きと喜びが混ざったような歓声が上がった。約90分に及んだライヴのラストを飾ったのは、この日の朝書き上げたばかりの新曲“LIFE”。〈忘れないで/今日の日のことを〉(筆者聞き取り)と歌うこの曲が、2人と3000人の間で交わす再会の約束として優しく響いた。(蜂須賀ちなみ)

ハルカトミユキ@日比谷野外大音楽堂
●セットリスト

01. Vanilla
02. 世界
03. ドライアイス
04. 春の雨
05. シアノタイプ
06. 嘘ツキ
07. ニュートンの林檎
08. バッドエンドの続きを
09. 振り出しに戻る
10. tonight
11. 肯定する
12. 火の鳥
13. 青い夜更け
14. 宇宙を泳ぐ舟
15. LIFE(新曲)
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