LAMP IN TERREN@渋谷CLUB QUATTRO

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LAMP IN TERREN@渋谷CLUB QUATTRO
大阪、名古屋、東京そして地元・長崎を巡る、LAMP IN TERREN「THE FIRST ONE MAN TOUR“BLUESYARD 〜landing prove tour 2015〜”」。今年1月にメジャーデビューして『silver lining』を、また7月には『LIFE PROBE』とアルバムを立て続けにリリースし、快進撃を続けている彼らだが、ツアー開幕直前には中原健仁(B)と共にバンド結成に携わった大屋真太郎(G)が復帰する形で正式加入を発表。4ピースの新型LAMP IN TERRENを目撃する絶好の機会となった。4公演はいずれもソールドアウト。とりわけ若いリスナーの期待をひしひしと感じる、開演前のフロアである。長崎での追加公演を残しているということでセットリストの記載は控えるけれども、『LIFE PROBE』収録曲を中心とした少々の演奏曲表記にはご注意を。

LAMP IN TERREN@渋谷CLUB QUATTRO
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沸々と立ち上がるドラマティックなオープニングSEが響き、中原と新メンバー大屋、そして松本大(Vo・G)、川口大喜(Dr)が揃って歓声を浴びる。松本はじっくりとギターを掻き鳴らし、歌う必然を問うようにしながら1曲目を歌い出す。「歌える?」とオーディエンスに問いかけてコーラスを誘い、「ただいま」と告げると、会場を丸ごと震わせるような凄まじいシャウティングヴォーカルを放った。圧巻だ。その後も、アーシーでスケール感の大きなバンドサウンドや、スリリングなコンビネーションで挑むアンサンブルと楽曲の表情を次々に変え、奥行きを増した4ピースの表現を伝える。

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中原は、盛況のツアーについて感謝と感慨を溢れさせ、「BLUESYARD=憂鬱の置き場所」の公演タイトルに触れながら「憂鬱とか、嫌なこととか痛みとか、全部ここに置いていきましょう」と呼びかける。“ボイド”は、骨太な響きと味わい深さを兼ね備えた名ロックチューンで、大屋はここぞとばかりに鮮やかなギターソロを差し込んで見せた。松本は、「みんなとの距離をぐっと近づけるために、シンちゃんと呼んであげよう」とオーディエンスを促し、料理が上手な大屋が近所に住む中原をちょくちょく食事に招いているエピソードなども伝えられた。普通の新加入メンバーなら有りえない、古い付き合いの親密さ・仲の良さが窺える。

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それぞれのソロパフォーマンスや、ハーモニーが彩るストーリー“王様のひとり芝居”。がっつりとオーディエンスの歌声をさらってポテンシャルの大きさを窺わせる“林檎の理”。「俺はいつもと同じ歌を、今日だけの気持ちで歌うから、これからもよろしくお願いします」と松本が告げて熱く転がりだした“メイ”。そして、オーディエンスの温かく瑞々しいコーラスによってライヴ演奏が完成するようだった“multiverse”。演奏技術の伸びしろはまだまだあるし、揺らぎや綻びも目につくが、それを補って余りあるエモーション、小さくまとまろうとしない心意気が、テレンのパフォーマンスからは常に立ち上っている。

エレクトロニックな同期を用い、記憶の中を彷徨うような壮大な新曲“時の旅人”は、表現すべきことはまだ幾らでもあるし、新しいことにも挑戦できる、と言わんばかりの攻めの姿勢を映し出していた。「それぞれにやり方があるし、他のバンドを否定しているわけじゃないんだけど」と前置きして、松本は「ついてこい、って言えないんですよ俺。一緒に歩いていくことしか出来ないから。でも、皆さんがいてくれるってだけで、曲書けたりするんですよ俺」。時に猛り狂うような咆哮を上げるフロントマンとは思えないほど、その言葉はナイーヴで優しい。でも、その繊細さと優しさは、テレンの鮮烈なロックからも、不思議と感じられることだ。

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フロアから再び“multiverse”の歌声が上がってアンコールを催促した後、さらに2曲を演奏して計20曲。堂々2時間半に及ぶワンマンを駆け抜けた4人。「ああ、できたんだなと思って。目標を越えないうちはねえ、ボヤっとしか見えないんですよね。次はもっと大きい会場で、大きい光になりましょう」。フロアに集まったひとりひとりが光のように見える、と松本は語っていた。同じように、3つから4つの光の集合になったバンドは、これから自ずと、新しい輝き方を見つけてゆくのだろう。また、既にニュースでも報じられているとおり(こちら→http://www.ro69.jp/news/detail/133484?count=1&topic=3)、11/10には『SCHOOL OF LOCK!』での生スタジオライヴも放送される。(小池宏和)
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