rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu

rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - all pics by 山川哲矢/BLUE ENCOUNTall pics by 山川哲矢/BLUE ENCOUNT
ロッキング・オン主宰、次世代ロックシーンを担うバンドが集結するライブイベント「JAPAN’S NEXT Vol.15」が恵比寿LIQUIDROOMで開催された。今回は、次世代を背負いながらも現在進行形でシーンを牽引する、被りナシの異なる特色を持った5組が揃った。
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - yonigeyonige
期待が満ちた会場の幕開けを託されたyonigeは、ハイハットの小気味良いリズムに合わせて起こったクラップに乗ってミディアムチューン“センチメンタルシスター”をプレイ。「嫌いになる覚悟を持って、私はあの子を嫌いになった」――何かを諦めたような冷ややかさの中に意志を感じる牛丸ありさ(Vo・G)の淡々とした声色、髪を振り乱しながら力強く弦を弾くダイナミックなプレイスタイルで魅了するごっきん(Ba・Cho)。そんなふたりのコントラストが映える“あのこのゆくえ”や“アボカド”では、女目線の生々しさが強く香った。途中牛丸のギターの弦が切れるアクシデントこそありつつも、「お客さんがみんな死んだ顔で見ているような、いつものライブも見に来てください」というニヒルな挨拶と“さよならアイデンティティー”を全力でプレイし、トップバッターの役目を堂々と果たした。
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rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - Dizzy SunfistDizzy Sunfist
「知ってる知らない関係ない!伝説のジャパネクに一緒にしようぜ!」というあやぺた(Vo・G)の大絶叫で始まった2番手・Dizzy Sunfist! 出演バンド唯一のパンクバンドという誇りを一身に背負って、初っ端から“Dizzy Beat”“SUPERHERO”さらにスカチューン“SULLEY”を間髪入れずに強気にぶち込んだ! 「ロックはロックでも、パンクロックで日本のロックシーンに名前を残すためにやってます! あんたたちの心を熱くして帰ります! かかってこい!」嘘や見栄や過大表現の一切ない、純真無垢で超ド級の真っ直ぐな意気込みを前に心して震えない訳がない。ライブハウスという場所の楽しさ、衝動で突き動かされる身体、会場を埋めつくす笑顔――その全てを誘引する3人は、ラストチューン“SHOOTING STAR”の最後の一音が鳴り終わるまで加速度を増し続けていった。
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - Dizzy SunfistDizzy Sunfist
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - め組め組
「JAPAN’S NEXT」3度目の出演となる、め組。菅原達也(Vo・G)は今回の出演バンドと自分達を比べて「他のバンド、みんなラスボスみたいじゃん! 俺らなんてクリボーみたいなバンドだよ、踏まれたらすぐ死ぬ(笑)」と話して会場の笑いを誘ってこそいたが、“マイ・パルプフィクション”“ジュゴンの背中に乗って”で早々に撒き散らした多幸感や煌びやかさは文句なしにピカイチだった。独特で空想的な言葉選びやファンタジックな世界観が心地好く会場を満たし、「この曲ならラスボス達とも肩を並べられる」とプレイされた新曲“放課後色”は、哀愁深いメロディラインと菅原の強い意志が宿る歌声が今までとは違う彼らの色を放っていた。そして、バンドのデビュー曲“500マイルメートル”で華やかに締め括られた会場は、まるでゲームクリアした時のような最上級の満足感に包まれていた。
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - め組め組
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - My Hair is BadMy Hair is Bad
「あんたらの想像を超えにきました」という椎木知仁(Vo・G)の強気な宣戦布告と“アフターアワー”で勢いよくスタートを切ったのは、新潟県上越出身のMy Hair is Bad。「雑誌から出てきた俺らがやらなきゃいけないのは、100点じゃなくて100%を出していくこと。あんたらの前で良いライブできなきゃ全部嘘だ」――椎木の弾き語りから始まる“フロムナウオン”では、『ROCKIN’ON JAPAN』に自分が載れなかった焦燥感を超えて今日このステージを勝ち取ったことを「辿り着いた」とか「夢が叶った」と綺麗に歌うことはせず、むしろ「そういうバンドのライブ観たけどダサかったぜ」と言いのける。それが彼らの「100点ではない100%のライブ」だし、そこには清々しいほど媚びがない。「これからどうなるかは分からないけど、ずっと好きな女の歌を歌いたい」媚びではなく、恋を歌い続ける。その一貫した指針“真赤”を歌い上げ、イベントの歴史に爪痕を残していった。
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - My Hair is BadMy Hair is Bad
rockin’ on presents JAPAN’S NEXT vol.15/LIQUIDROOM ebisu - BLUE ENCOUNTBLUE ENCOUNT
そして4 組が渾身のアクトで繋いだバトンを受け取ったのは、BLUE ENCOUNT! リリース、ツアー、そして武道館ワンマン公演という絶対的な経験と自信を携えながらも、田邊駿一(Vo・G)は2年振りのLIQUIDROOM ebisuのステージに初期衝動を爆発させて「やばいです、こんなに昔の俺らに戻れている日はない。固定概念全部ぶっ壊せ!」と、バンドとフロアの境界を一切無くし「暑苦しいライブハウスと音楽が好きで、今日この場所を選んだ人間」という共通項ただひとつで一体感を作り上げた。その空間で聴く“THANKS”の説得力は計り知れないし、その爆発力を視覚化すべく“LIVER”で二度に渡って会場全員で振り回されたタオルの量も到底数え切れるものではなかった。「バンドの本気」に応えようとする「フロアの本気」との相乗効果で、ラストの“NEVER ENDING STORY”、さらにアンコールで披露された自身初のドラマ主題歌となった新曲“LAST HERO” に至るまで最高沸点を更新し続けた。(峯岸 利恵)
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