MGMT @ 渋谷O-East

MGMT @ 渋谷O-East - MGMTMGMT
08年も多数の新人アーティストがデビューを果たしたが、とりわけ注目を集めたバンドの一つが、ブルックリン出身のMGMTだ。今回の日本公演は、中心メンバーのアンドリューとベンに加え、サポートのドラム、ベース、ギターの計5名による編成。

サマーソニック08のステージも東京会場ではほぼ満員となっていたが、今日も場内は超満員。開演とほぼ同時に会場に到着したが、特に1Fフロアはぎゅうぎゅう。個人的には若いお客さんの割合が高かったことも印象的だった。

これはサマーソニックのときもそうだったのだけど、彼らは、サイケでドリーミーなアートワークや、一連のPVなどからは、意外に思えるほど普通の衣装(フロントマンのアンドリューは黒いパンツに紺色のTシャツだったり)でステージに登場する。そしてライブの展開も奇をてらうことなく実にオーソドックス。MGMTは、もともとはアートスクールで音楽を専攻していたアンドリューが学生時代にベンとやっていた多数のプロジェクトのうちの一つの発展系なこともあったりして、よくも悪くも、“ムード”先行のバンドなんじゃないかと思われがちだけど、ライブを一度でも観ればそうしたイメージは払拭されるのではないだろうか。あの画期的なアルバムは、偶然の産物なんかなじゃくて、豊かな音楽的土壌と、時代の機微を読み取る皮膚感覚、そして知的な批評精神が生み出した“創造物”なんだ、ということがヒシヒシと伝わってくるのだ。

サマーソニックのときから着実に進化している演奏や、メンバー間の一体感からは、バンドを前進させていこうとする意欲が透けてみえる。ただ一部、アルバムのスケール感に、ライブでの再現性が追いついていない部分もあって、そこがもったいない。フォーキーな楽曲が内包している深遠さが、まだまだ表現し切れていないのだ。だけど、これまでの着実な進化があるし、未完成ゆえに“もっと磨きをかけたら、このバンドはどこまでいっちゃうんだろう”という期待感を抱かせてくれるところが、そこらの並のバンドとは違う。また、語弊があるかもしれないけど、彼らには、未完成部分を補ってあまるほどの天性のタレント性があるのも事実で、それがこのバンドの驚異的なところでもあると思う。

“タイム・トゥ・プリテンド”“エレクトリック・フィール”といった浮遊感溢れるビートと、あの儚く切ない歌声が、ばっちりの相性をみせる、ダンス・チューンは、まさに真骨頂といった感じ。ラストのアンコール、軽やかでユーモラスなキーボードの旋律がたまらない“キッズ”での祝祭感溢れるクライマックスは、息も詰まりそうなほどのキラメキとエネルギーがフロアから溢れてきて、本当にアゲられました。(森田美喜子)

1.The Youth
2.Future Reflections
3.4th Dimensional Transition
4.Pieces of What
5.Of Moons, Birds & Monsters
6.Weekend Wars
7.Time To Pretend
8.Metanoia
9.Electric Feel
10.The Handshake

アンコール
11.Kids
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