04 Limited Sazabys/日本武道館

 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)
 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by ヤオタケシphoto by ヤオタケシ
●セットリスト
1. monolith
2. fiction
3. escape
4. Chicken race
5. Warp
6. drops
7. Now here, No where
8. labyrinth
9. nem...
10. Grasshopper
11. knife
12. Lost my way
13. imaginary
14. Buster call
15. Remember
16. Any
17. compact karma
18. bless you
19. Night on
20. mahoroba
21. cubic
22. discord
23. Letter
24. milk
25. hello
26. eureka
27. Horizon
28. Terminal
29. swim
(encore)
30. climb
31. Feel
(encore 2)
32. midnight cruising
33. Give me
 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by ヤオタケシphoto by ヤオタケシ
「武道館を最高到達点にしたくない」というメンバー自身の想い。特別な場所で好きなバンドの勇姿を見届けたいというファンの想い。花を持たせてあげたいというスタッフ・関係者の想い。そのステージに立つことなく音楽の現場を去っていったかつてのライバルの想い。今切磋琢磨し合っている仲間たちの想い。初の武道館ワンマン、というバンド人生で一度しか訪れない瞬間にはいろいろな人の想いが交錯するもの。「僕らは日本を代表するバンドとして/日本武道館の舞台に立ちたいと思ってます」と宣言していた04 Limited Sazabysは、その舞台において、自分たちに向けられた様々な想いをまとめて背負うような頼もしさを見せた。「フォーリミ」はもはや4人だけのものではないし、そこで終わるつもりもない。そんな覚悟とともに新たなスタートを切るための、まるで日の出のようなライブだった。
 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by ヤオタケシphoto by ヤオタケシ
 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)
「カネとかコネとかがあったわけでもないし、オーディションに受かったわけでもない。名古屋のライブハウスからちょっとずつ仲間を増やして、地続きでここまでやってきた」と途中のMCでGEN(B・Vo)が話していたが、全33曲(アンコール含む)を通して彼らが示したのはまさにそういうバンドの軌跡である。ライブの冒頭を飾ったのは、新宿・ACB HALL(彼らもよく出演していたライブハウス)にてライブスタートに向けてメンバーが準備をしている様子を捉えたオープニングムービー。「いくぜ。おい!」と拳を合わせたところで映像が終了すると、ステージを覆う紗幕越しに4人のシルエットが浮かび上がり、1曲目“monolith”へと突入したのだった。
 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by ヤオタケシphoto by ヤオタケシ
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レーザー光線とスモークが狂騒感を際立たせた“fiction”、巨大スクリーンがメンバーの活き活きした表情を伝えてくれた“escape”、「日の丸日の丸!」「ブッドーカーン!」というRYU-TA(G・Cho)主導のコール&レスポンスを経て最大光量の明転が客席を照らした “Chicken race”――と初っ端から大会場ならではの演出が続く。このあとも炎が上がったりテープキャノンが発射されたりしていたが、それでも大げさな感じがしなかったのは、バンドがあくまで今まで積み上げてきた成果を発揮するような演奏をしていたからだろう。この日は全体を通して「特別感はあるけどいつも通り」なテンションだったが、その絶妙な温度感はスタッフも含めた「チーム・フォーリミ」だからこそ生み出せたもの。そういう意味でひとつのハイライトとなったのは、今日に至るまでのライブ日程&会場を振り返る映像のあと披露された“Buster call”だった。伴奏はHIROKAZ (G)のギターのみ、というほぼアカペラの歌い出しはおなじみだが、ライブの場で育ってきたこの曲が日の丸の下で演奏される場面はやはり感慨深い。オールスタンディングのアリーナエリアではサークルやクラウドサーブが発生している箇所もあり、普段のハコと変わらない景色をここ武道館で見ることができた。
 04 Limited Sazabys/日本武道館 - photo by ヤオタケシphoto by ヤオタケシ
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「こんなに良い場所で鳴らせると思ってなかったから曲たちも嬉しそう」(GEN)とインディーズ期の曲を連投したところで折り返し地点に。このタイミングで放映されたのが、クイーンのフレディ・マーキュリー、芥川龍之介、卑弥呼、『魔女の宅急便』のキキなど、(メンバー扮する)著名人から寄せられたビデオレターだ。そのVTRを通してすっかり「女装好き」のイメージが付いてしまったKOUHEI(Dr・Cho)が男らしさを見せるべく渾身のドラムソロを披露し、後半戦へ突入していく。
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ものすごい曲数のセットリストがどんどん進む中、バンドサウンドは失速するどころか爽快になっていくばかり。それと同時に、「ここで歌うために作りました」と紹介された“eureka”、「ここに立つことでいろいろなバンドマンが成仏している感じがあります。俺たちは俺たちなりに希望を送り続けます」という言葉を体現した “Horizon”――とひとつひとつの曲の中にバンドの覚悟がにじんでいき、4人の演奏は胸に迫る重さを纏っていった。この日メンバーは「当たり前じゃない」と何度か言っていたが、40本に及ぶ全国ツアーを通して、自分たちの今までとこれからを見つめ直してきたからこそそういう言葉が出てきたのだろう。「武道館は通過点」と最近はよく言うし、彼ら自身もすでに未来を見ているが、ここに辿り着くことのできるバンドはやはり一握り。「日本を代表するバンド」としての責任を引き受けるように鳴らされた“Terminal”、そして“swim”はこの上なく眩しかった。
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アンコールを終えても鳴りやまない歓声に応えてメンバーが再々登場したダブルアンコール。いつかみんな自分たちの音楽を卒業していく、とよくファンに対して言っていたGENがこの日は「みんなの青春にはなりたくない。少しでも長い付き合いをしたい! 一緒に歳をとりたい! できれば一生一緒にいたい!」と叫んだ。光の裏には影がある。出会いがあれば別れもある。夢を掴み取るまでの過程には、不安や苦悩がつきまとうものである。順風満帆とはいかなかった道程の上でそれらを痛いほど味わってきたからこそ、フォーリミの鳴らす「希望」には意味が宿る。4人は今、そのことを誰よりも強く実感しているのではないだろうか。
だからフォーリミの夢は続いていくんだ。その理由がギュッと詰まった、素晴らしいライブだった。(蜂須賀ちなみ)
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