ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST - All photo by AZUSA TAKADAAll photo by AZUSA TAKADA

●セットリスト
1.夜明けのオレンジ
2.テレキャスター・ストライプ
3.BLUE
4.ポルカドット・スティングレイ
5.シンクロニシカ
6.ミドリ
7.エレクトリック・パブリック
8.本日未明
9.サレンダー
10.パンドラボックス
11.半泣き黒猫団のテーマ
12.少女のつづき
13.フレミング
14.ショートショート
(アンコール)
EN1.ヒミツ
EN2.ICHIDAIJI



ポルカドットスティングレイの「ポルフェス30“教祖爆誕ワンマン”」が、雫(Vo・G)の26歳の誕生日である10月15日に新木場STUDIO COASTで行われた。チケットは即日完売で、素晴らしいライブパフォーマンスは超満員のフロアが揺れるほどの熱狂を生み、バンドサウンドの成熟をしっかりと見せつけてくれた。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
雫のバースデーに、「教祖爆誕」と称してワンマンライブを行うのはこれが3度目。初めてのワンマンは2年前、まだメジャーデビュー前で『骨抜きE.P.』もリリースされていない頃だが、“テレキャスター・ストライプ”のMVがバズり始めて、再生回数が100万回を超えたあたりのことだったように記憶している。会場は新宿Red Cloth。そして昨年の「教祖爆誕」ライブは代官山UNIT。1stフルアルバム『全知全能』でのメジャーデビューを11月に控え、バンドの勢いが加速度的に増している頃のこと。あれからちょうど1年。そう、まだ1年なのかと改めて驚く。メジャーデビュー後の彼らの躍動はご存知の通り。今や、STUDIO COASTのキャパをもってしても収まらないほどの勢いだ。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
過去2回の「教祖爆誕」ライブを踏襲するように、この日も“夜明けのオレンジ”でライブは幕を開けた。この曲は、ポルカが自主制作で一番最初にリリースした楽曲である。その後、配信&会場限定リリースのシングル『極彩』にも収録され、メジャーデビューの1stアルバムには“夜明けのオレンジ (全知全能 ver.)”として、リアレンジ&再録で収録されている。バンドにとっては「ここから始まった」という思いも強い楽曲だと思う。しかしそこに無駄な気負いはない。今日の“夜明けのオレンジ”にはバンドの余裕すら感じ取れた。とてもナチュラルに離陸するような、誰もが自然に体を揺らしてしまう軽快な滑り出し。雫だけではない、エジマハルシ(G)のギターも、ウエムラユウキ(B)とミツヤスカズマ(Dr)によるリズムも、各々が自分の音に固執するのではなく、バンドとしてのグルーヴが当たり前のように生み出されていく。そしてキラーチューン“テレキャスター・ストライプ”が2曲目に早くも繰り出されると、オーディエンスのジャンプや動きはどんどん大きくなっていく。シンガロングもすごい。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
“夜明けのオレンジ”がバンドとして最初にリリースされた曲なら、“ポルカドット・スティングレイ”は、バンドを結成して一番最初に作った楽曲である。雫は「もうすぐメジャーデビューして1年。すっかりメジャーの色に染まってしまったんじゃないかと思う人もいるかと思うので、1曲、聴いてください」と、この最初期のナンバーを突きつけた。ギターリフがドライブしていく、ポルカの原点とも言える楽曲は、今なおバンドの代表曲として高らかに響き、その後に雫の「オマエら、休んでるヒマはないぞ!」という叫びから“シンクロニシカ”へと続くと、ポルカの根底にある揺るぎのない強いエモーションを感じさせた。この日の“シンクロニシカ”は凄まじかった。これまでで最速かと思うほどのアッパーなビートは、もはやパンクバンドの衝動そのもの。インディーだろうがメジャーだろうが、やはりポルカはポルカだと思い知らされた瞬間だった。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
“サレンダー”のテンポ感のあるジャジーなサウンドは、演奏も歌もメリハリがこれまで以上に効いていて、ポルカのバンドアンサンブルがどんどん洗練されていっているのがよくわかる。ハルシとウエムラが並んで弾き倒す間奏のスリリングなこと。続く“パンドラボックス”がまた圧巻だった。ブルー&レッドのレーザービームが放射される中、ハイパーなギターリフと、疾走しながら的確にリズムをキープするドラム、ダークに跳ねるベース、その高速サウンドの上を泳ぐように流れる雫の歌声──この日のポルカは、速い曲はより速さを感じさせ、ヘヴィな曲はとことんヘヴィに、“フレミング”のような美しい曲はより壮大にドラマチックに、すべての楽曲を鮮やかなコントラストで楽しませてくれた。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
アンコール前には、11月7日(水)に発売される1st DVD『秘密』のトレーラー映像が初公開され、そのDVDに収録される予定の最新曲“ヒミツ”がライブ演奏で初披露された。この楽曲は映画『スマホを落としただけなのに』の主題歌として書き下ろされたものだが、映画の物語に寄り添う内容であるばかりでなく、不穏なギターサウンドにのせて、雫の、シーンごとに多様に表情を変えるようなボーカルスタイルには、ポルカドットスティングレイのさらなるエンターテインメント性を垣間見たような気がした。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
最後は「改めて感謝しています。26歳になって、親にも、メンバーにも、スタッフ、関係者の人たちにも、もちろんプライベートで支えてくれてる人にも、何よりお客様ですよ。あなたたちに感謝が止まらない。ありがとうございます」と、今年もこうして「爆誕」ライブを、より大きな規模で開催できた喜びを言葉にした。今日の雫は本当に楽しそうだった(もちろんメンバーも)。「最後まで一緒に踊ってくれますか?」と、ラストは“ICHIDAIJI”で締めくくると、雫は大歓声に沸くフロアに「大好き」と一言残して去っていった。

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
年齢を重ねるごとにどんどんバンドマンとして、クリエイターとして、そして人間としての魅力を増していく雫。来年はどんな27歳になって、4度目の「爆誕」ライブを見せてくれるのだろうか。ここからの1年がまた楽しみだ。(杉浦美恵)

ポルカドットスティングレイ/新木場STUDIO COAST
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする