yonige/Zepp DiverCity TOKYO

yonige/Zepp DiverCity TOKYO - All photo by 太田好治All photo by 太田好治

●セットリスト
1.リボルバー
2.our time city
3.バッドエンド週末
4.顔で虫が死ぬ
5.2月の水槽
6.最終回
7.悲しみはいつもの中
8.あのこのゆくえ
9.最近のこと
10.バイ・マイ・サイ
11.ベランダ
12.しがないふたり
13.沙希
14.どうでもよくなる
15.センチメンタルシスター
16.ワンルーム
17.アボカド
18.さよならアイデンティティー
19.春の嵐
20.さよならプリズナー
21.最愛の恋人たち

(アンコール)
EN1.笑おう
EN2.さよならバイバイ


yonige/Zepp DiverCity TOKYO

大阪府寝屋川市出身のガールズバンド・yonigeが10月3日にリリースしたミニアルバム『HOUSE』を引っ提げた全国ツアー「君のおへその形を忘れたツアー」のファイナル公演が、11月30日にZepp DiverCity TOKYOにて行われた。

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MCでごっきん(B・Cho)も話していたが、11月2日のZepp Nambaを皮切りにスタートさせた全7ヶ所に渡る本ツアーをぴったり1ヶ月で綺麗に締め括ることとなったこの日のライブを“リボルバー”で幕開けた彼女たち。アップテンポで明瞭なナンバー“our time city”ではオーディエンスが高々にハンズアップする光景を生み出しつつも“バッドエンド週末”ではまたガラリ雰囲気を変えてひんやりとした空気を醸しだし、冒頭からカラーの異なる3曲で会場のテンションを掌握していた。

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牛丸ありさ(Vo・G)の短い挨拶をきっかけに“顔で虫が死ぬ”、“2月の水槽”と新作の収録曲を続けてプレイし、その後も“あのこのゆくえ”や“バイ・マイ・サイ”など過去の楽曲を織り込みながらライブを展開していった。特にカラフルな光を放つミラーボールがゆったりと回る中で奏でられた“沙希”での呼吸すら躊躇われる静まりかえった会場がとても印象的で、演奏が終わった際にする拍手のタイミングがまばらだったことが、オーディエンスが楽曲の世界にずぶっと入り込んでいたことの証明だったように思う。

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そして続く“どうでもよくなる”の小気味よく穏やかなサウンドに身を委ねながら、今のyonigeのフラットでナチュラルな感性をとても喜ばしく思えた。『ROCKIN’ON JAPAN』11月号に掲載されているyonigeのインタビューで牛丸が「人に聴かせるためだけじゃなくて、自分を大切にするための音楽を作ろうと思って」と語っているように、『HOUSE』という作品は力みや無理を感じない、とても自然体な作品だ。

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アルバムタイトルからも分かるように、今作からはまるで家に居るかのようなゆったりとした生活感が香ってくる。例えば「最高に幸せ!」という超ハッピーな曲よりも「元カレこの野郎!」といった失恋ソングの方が人の気を強く引き付けるが、磁力が強い分発信者側もそれだけ力む必要がある。yonigeはそういったパワーバランスの取り方や「不幸な出来事をどん底のテンションのまま終わらせない」という楽曲への落とし込み方がとても上手いバンドであることはこれまでの作品から伝わってきているし、yonige自身もそこに「無理している」とは思っていなかったのだと思う。

yonige/Zepp DiverCity TOKYO
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そんな彼女たちが今作で、イレギュラーな感情ではなくごく普通の生活の中で感じ取った、言ってしまえば当たり前で何でもないような発見や情景を言葉にし、音楽で表現するということは、バンドを長く続けていく為にもとても健康的なバンドの歩み方なのだと思った。MCにて今ツアーでダイエットに成功したことやツアー中の出来事を面白く語るごっきんと、全体としての言葉数は少なくとも「(ツアーも)終わりやなぁ」と淋しそうに本心をぽろっと零す牛丸との関係性の良さも含め、演奏している彼女たちの姿や放たれる音を浴びてその想いは確信に変わったのだった。

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“アボカド”や“さよならアイデンティティー”で会場のテンションをグッと引き上げつつ、物憂げに優しく歌い上げる“春の嵐”、そしてラストには“最愛の恋人たち”で本編の幕を閉じた彼女たち。アンコールでは“笑おう”を明るく披露し、いざ2曲目――と思いきや、牛丸から「追加公演があります!」との発表が! さらに開催場所はこの場でダーツにて決めるとのことで、突如大きなダーツ盤が登場。サポートドラマーの堀江祐乃介(Dr)、ごっきん、牛丸の順で矢を投げ「島根県」、「埼玉県」そして「海外公演」に決定すると、会場からは驚きと喜びの混じった大歓声が上がった(詳細についてのアナウンスは後日されるということなので是非チェックしてほしい)。

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会場の高揚感が落ち着く間もなく、牛丸の「またライブハウスで会いましょう。良いお年を」との挨拶をきっかけにして最後に“さよならバイバイ”がプレイされ、1ヶ月に渡るツアーを堂々と、そして清々しく締め括ったのだった。(峯岸利恵)

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