BABYMETAL/横浜アリーナ

BABYMETAL/横浜アリーナ - All photo by Tsukasa Miyoshi (Showcase)All photo by Tsukasa Miyoshi (Showcase)

●セットリスト
01.新曲
02.メギツネ
03.Elevator Girl
04.Distortion
05.新曲
06.Starlight
07.シンコペーション
08.ヤバッ!
09.PA PA YA!!(feat. F.HERO)
10.ギミチョコ!!
11.KARATE
12.Interlude
13.THE ONE
14.Road of Resistance



BABYMETAL/横浜アリーナ

暗転したステージのビジョンに浮かび上がる「METAL RESISTANCE EPISODE VIII」の文字に、場内には轟々たる歓喜の声が巻き起こる。
そして、「選ばれし勇者」とアナウンスされた白マント姿のサポートダンサー3人を乗せた舞台が花道に添ってアリーナ中央へと移動すると、花道の先端に設けられていた八面体のオブジェが弾け、そこから飛び出したBABYMETALロゴ型のビジョンがゆっくりと羽ばたきながらメインステージへ――。
自身3作目となるアルバムの年内リリースを発表していたBABYMETALにとって、2019年初の日本公演となる横浜アリーナ2DAYS公演=「BABYMETAL AWAKENS -THE SUN ALSO RISES-」。あたかも神話の一場面のようなシーンで幕を開けたこの日のアクトは、巨大な空間丸ごと怒濤のメタルポップスペクタクルへと導くものだった。

昨年のダンサー5人を擁した7人体制=「THE CHOSEN SEVEN」から装いを一新、SU-METAL(Vocal & Dance)・MOAMETAL(Scream & Dance)のふたりに「選ばれし勇者」3人のうちひとりが加わる3人編成による新体制で今回のステージに臨んだBABYMETAL。
3人と神バンドがステージに登場したところで、開演早々から未発表の新曲を披露。“Road of Resistance”にも通じるメロディックスピードメタルの要素を持ちつつも、SU-METALが突き上げるメロディの神秘性が、そして雄大なスケール感を備えた楽曲展開が、BABYMETAL最進化形を明確に伝えていた。
そこへ轟く初期からのキラーチューン“メギツネ”! 3人が舞台ごとアリーナ中央に場所を移すと、アグレッシブなダンスと歌声、「Are you ready to jump?」のSU-METALのコールに応えて、アリーナ&客席が激しく揺れていく。

BABYMETAL/横浜アリーナ

この日のステージの最大の特徴は、冒頭の新曲を筆頭に「『METAL RESISTANCE』のその先の世界」を確かに感じさせるものだったことだ。
ドラムンベースやジャズピアノ、オートチューン風ボーカルエフェクトが未体験のスリルとポップ感を描き出す“Elevator Girl”、紅蓮の世界観が渦巻くメタルコアナンバー“Distortion”、ファンタジックなメタル新世界を繰り広げる“Starlight”といった既発配信シングル曲は、すでに鉄壁のアンセムとしての存在感を放っていたし、この日に披露されたもうひとつの新曲――インド音楽を思わせるオリエンタルな妖艶さを持った楽曲は、“Elevator Girl”同様に「メタルを軸とした『非メタル』への音楽的アプローチ」を予感させるものだった。

BABYMETAL/横浜アリーナ

その新機軸をより強烈に印象づけたのが、6/28に配信リリースされたばかりの最新楽曲“PA PA YA!!(feat. F.HERO)”。3人を乗せたライザーが火花を噴きながらアリーナセンターへ移動、痺れるようなディストーションサウンドとレゲトン調のアッパーなビートがせめぎ合う高揚感を、SU-METALの歌声と3人のダンスが、そして楽曲後半で登場したタイのヒップホップシンガー:F.HEROのパワフルなラップと「パパヤー!」のコールが、さらに熱く煽り立てていく。会場一丸の掛け声に合わせて舞台上に激しく噴き上がる火の玉が、横浜アリーナを灼熱の多幸感へと塗り替えていった。

BABYMETAL/横浜アリーナ

そして、本公演でもうひとつ特筆すべき点は、昨年の「BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN」までは見られたソロ曲/ユニット曲がセットリストから姿を消していることだ。
今回の内容が今後の選曲を占うものかどうかは不明だが、少なくともSU-METAL・MOAMETALともに、海外歴戦を経てフルステージ全力全開状態でも完走可能なタフネスを体得した「今」のモードは十分に窺わせるものだ。

終始エモーショナルなシンガロングが場内のむせ返るような熱気を震わせ、“シンコペーション”で勢いよく腕をぶん回す3人に応えてアリーナのあちこちに渦が生まれ――とメタル×ポップの化学反応がさらなる超弩級の熱量を生んでいたこの日のアクト。
“Elevator Girl”では3人の姿をビジョン上でエレベーターのゴンドラと合成したり、3人のアクションを“ヤバッ!”では電流の煌めきと、“KARATE”ではゆらめく炎とリアルタイムで重ね合わせて「気合い」や「熱量」を鮮烈にビジュアル化してみせたり……といった先端技術を駆使した映像演出も含め、1時間半ほどのステージの中に驚愕と感激が凝縮された珠玉の激演だった。

BABYMETAL/横浜アリーナ

黒マントをまとって英語バージョンの“THE ONE”を歌う姿に一面のFOXサインが突き上がり、3人が力強くフラッグを掲げて流れ込んだ“Road of Resistance”では「Sing it!」、「もっと!」と煽るSU-METALのコールを受けて地鳴りのような大合唱が会場を満たしていく。
ラストの「We are!!」、「BABYMETAL!!」のコール&レスポンスが、最高の一夜をなおも目映く彩るようにひときわ熱く響き渡った。

終演後には「我々は新たな経典を授かるだろう」のアナウンスとともに、「20191011」、『METAL GALAXY』とニューアルバムの発売日およびタイトルが、さらにアルバムリリース後の日本公演=「METAL GALAXY WORLD TOUR in JAPAN」:11/16(土)・11/17(日)さいたまスーパーアリーナ&11/20(水)・11/21(木)大阪城ホール公演のスケジュールがビジョンに映し出されると、雄叫びにも似た大歓声が熱気とともに会場狭しと吹き荒れていった。

本公演の翌日・6/30にはイギリスの世界最大級フェス「グラストンベリー・フェスティバル」への出演を果たしたBABYMETAL。「METAL GALAXY WORLD TOUR」は9月からのアメリカツアーを皮切りに、11月の日本公演を挟んで2020年にはヨーロッパ編へと続いていく。3rdアルバム『METAL GALAXY』から始まる新次元は、もうすぐそこまで迫っている。(高橋智樹)

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