OAU/LINE CUBE SHIBUYA

OAU/LINE CUBE SHIBUYA - All Photo by KAZUYAKOSAKAAll Photo by KAZUYAKOSAKA

●セットリスト
01.新曲
02.Ice Queen
03.Pilgrimage〜聖地巡礼〜
04.こころの花
05.Follow the Dream
06.Believe
07.In all of a day
08.Remedy
09.夢の跡
10.Americana
11.Where have you gone(ゲスト:細美武士)
12.A Better Life
13.Thank you
14.Again
15.Freight Train
16.Midnight Sun
17.Making Time
18.帰り道
(アンコール)
EN01.最後のニュース(井上陽水カバー)



OAU/LINE CUBE SHIBUYA

MARTIN「大きいところだね、TOSHI-LOW
TOSHI-LOW「うん。俺さ、リハの時『そんな大きくねえな』と思ってたの。そしたら、3階席があるの気づいてなかった(笑)。(沸き返る3階の観客に)落ちたらダメだよ! BRAHMANのライブじゃないからね、誰も受け止めないから(笑)」

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDからバンド名表記を「OAU」へ改めてから初のアルバム『OAU』(昨年9月リリース)のレコ発ツアー「OAU Tour 2019『A Better Life』」に続き、全国6会場を巡る追加ホールツアー「Hall Tour 2020 -A Better Life-」。そのセミファイナルとなる東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演は、そのオーガニックな音像越しに生命の手触りと「本当に大切なもの」の在り処を指し示すOAUの15年史の結晶のような、力強さと包容力に満ちた一夜だった。

開演時刻の19時ちょうどにTOSHI-LOW(Vo・A.G)、MARTIN(Vo・Violin・A.G)、KOHKI(A.G)、MAKOTO(Cb)、RONZI(Dr)、KAKUEI(Perc)がオンステージ。いきなり聖なる祭りの如き新曲で幕を開けたこの日のアクト。曲ごとにMARTIN/TOSHI-LOWがそれぞれリードボーカルを担い合いながら、“Ice Queen”のメロディアスな広がりも“Pilgrimage〜聖地巡礼〜”の加速感も伸びやかに響かせ、オーディエンスひとりひとりの魂とじっくりギアを合わせていく。
最新作『OAU』から披露した“こころの花”の《誰かのためになりたい歌を歌って》のフレーズに応えて、客席からも歌声が巻き起こり、会場の熱気を刻一刻と高めていく。

OAU/LINE CUBE SHIBUYA

「OAUという名前に改名したんですけど。以前はもっと長い――OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDパラダイスオーケストラ パラベラムバレット45という名前だったんですけど(笑)」と観客を沸かせつつ、「まさかこんないいところでやれるようになるとは思いもしなかったんですけど……」と同公演ソールドアウトの感謝を伝えるTOSHI-LOW。
「OAUになるまで14〜15年の間――その時は上手くできなかったこともいっぱいあるんですけど、そこで培ってきたものが今OAUになってるんで。せっかくのワンマンなので、そんな俺たちの歴史も観てもらえると嬉しいかな」という言葉に、熱い拍手が降り注ぐ。

“Believe”(1stアルバム『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND』/2006年)、“In all of a day”(2ndアルバム『New Acoustic Tale』/2009年)などの楽曲を通してバンドの歩みを丹念に振り返る一方、“Americana”をはじめライブ後半には『OAU』の楽曲も積極的に披露していたのが印象的だった。
TOSHI-LOWがブルースハープを、KOHKIがスライドギターを奏でる中、“Where have you gone”のメロディを晴れやかに歌いながら舞台に歩み進んできたのは盟友・細美武士ELLEGARDENthe HIATUSMONOEYES)! MARTINと細美の極上のハーモニーが、豊潤なアンサンブルにさらなる生命力を吹き込んでいった。

“A Better Life”で一面のクラップを巻き起こしたところから、ライブはクライマックスへ向けてなおも高まりを見せていく。総立ちのオーディエンスを祝祭感と躍動感で揺らした“Thank you”。MARTINの高速フィドルさばきがRONZIのリズムの疾走感とせめぎ合う“Again”。アイリッシュパンクにも通じるタテノリ感を描き出してみせた“Freight Train”。タイトなビートに身を委ねて“Midnight Sun”から“Making Time”へと流れ込む頃には、会場はタフで雄大な一体感に包まれている。

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「自分個人的に、東京で親代わりみたいな人がこの間亡くなって。余命の話もしてたし、心の準備もしてたのに、やっぱり亡くなったって聞いて、心にぽっかり穴が空いて……わかっていてもこんなに悲しいんだなって」。ライブ終盤、ひと言ひと言噛みしめるようにTOSHI-LOWが語る。
「で、想像してほしいのは、ある日そんな別れが自分に来る――隣にいる愛する者たちと突然、二度と会えなくなったら、自分はその時何を後悔するんだろう? 最後に何を話したか。最後にその人の人生を送り出してあげたか。だから、毎朝『行ってらっしゃい』、『行ってきます』――それはこの世の別れの言葉。で、無事帰ってこれたら、笑顔で『おかえり』、『ただいま』。それを毎日毎日繰り返してください」
そんな言葉とともにTOSHI-LOWが歌い上げたのは、ドラマ『きのう何食べた?』でもお馴染みの名曲“帰り道”。《忘れられない/いとしさを/胸に深く抱いて/思い出してよ/ただいまと/扉の開いた日のことを》……観る者すべての「今ここにある日常」を慈しむように、その歌はどこまでも優しく、強く響いた。

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アンコールでは、最近になって『AKIRA』を観たというTOSHI-LOWが「『AKIRA』予言なんじゃね?と思って」という話から、「でも、よく考えてみたら、ミュージシャンの人たちもたくさん『予言』してる。それに俺たちが気づかなかっただけ」とこの日の最後に披露したのは、井上陽水“最後のニュース”のカバー。人口増加、エネルギー資源、戦争……などさまざまな問題と向き合い、1989年の視点から「未来」への憂いを歌ったこの曲が、紛れもない2020年の「今」のメッセージとして深く胸に残った。

4月には宮古/大船渡/石巻で「OAU Extra Tour 2020 -A Better Life-」を開催、さらに結成15周年を迎える今秋には「OAUの想いがすべて詰まった作品」のリリース&過去最大のツアー開催を発表しているOAU。「LIFE with YOU, OAU」――15周年に向けて掲げられたキャッチフレーズの通り、僕らの生活と心に確かな軸と彩りを与えてくれる珠玉の名演だった。(高橋智樹)
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