【特集】そこに見た絶好調の今、そして進んで行く未来 ──「おいしくるメロンパン bouquet tour - Re:birth blue -」ファイナル公演レポート!

【特集】そこに見た絶好調の今、そして進んで行く未来 ──「おいしくるメロンパン bouquet tour - Re:birth blue -」ファイナル公演レポート! - photo by 郡元菜摘photo by 郡元菜摘

今年1月から始まり、全11公演を回ったおいしくるメロンパンによる全国ツアー「おいしくるメロンパン bouquet tour - Re:birth blue -」が、3月28日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで幕を下ろした。10作目のミニアルバム『bouquet』のリリースツアーとして昨年開催された「おいしくるメロンパン bouquet tour - never ending blue -」の追加ツアーとして開催された、今回の「Re:birth blue」。2つのツアーを足せば3人は昨年10月から5か月もの間ツアーを回っていたことになるのだが、それだけツアーを回りたくなる気持ちもわかる、と言いたくなるくらいに、今のおいしくるメロンパンのライブは凄まじいことになっている。5か月間の旅路を締め括るLINE CUBE SHIBUYA公演は、そんな今のおいしくるメロンパンの絶好調ぶり、そして未来に向けて新たに踏み出した1歩の確かな力強さを感じさせるものだった。

【特集】そこに見た絶好調の今、そして進んで行く未来 ──「おいしくるメロンパン bouquet tour - Re:birth blue -」ファイナル公演レポート!

前回の「never ending blue」同様、海や水辺を連想させるLED映像演出で幕を開けたライブ。ステージ天井に設置されたオーロラのような照明も存在感を放っている。そして登場した、原駿太郎(Dr)、峯岸翔雪(B)、ナカシマ(Vo・G)の3人。峯岸はステージに登場するなり、観客たちに向かってガッツポーズをした。その姿に観客たちの歓声が応える。3人は集まって向き合い、そのあと、それぞれの定位置に付くと1曲目の“海馬の尻尾に小栴檀”が始まる。《忘れようなにもかも/大切にするために》――胸に染み込むようなメロディに乗せて、そうナカシマは歌う。思い出をギチギチに詰め込んだ頭では、本当に大切なことは思い出せないのかもしれない。僕らは、ちゃんと忘れないと、ちゃんと思い出せないのかもしれない。何故この曲がこの日のライブの1曲目なのか。その理由を体で感じながら、そんなことを思う。

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“海馬の尻尾に小栴檀”が終わると、少し呼吸を置いてから、“マテリアル”が始まる。ライブで大爆発を起こす名曲がいきなり2曲目。その勢いこそが、今のおいしくるメロンパンの勢いなのだと思う。さらに “色水”を立て続けに披露。「出し惜しみ」なんて言葉は、今のところこの3人の辞書にはないのだろう。そんな“色水”のアウトロから見事に接続されるように“クリームソーダ”へ。これは全体を通してだが、いつもながら、と言うか僕が観たことのある限りでは過去最高に、曲間の繋ぎが洗練されていて素晴らしいライブだった。呼吸を、リズムを、時間を、3人は見事に操る。それがあまりにも見事だから、僕は僕の呼吸を、リズムを、大切にしたいと思える。

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    峯岸翔雪(B)

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    原駿太郎(Dr)

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6曲目に披露された“十七回忌”では天井に設置されたミラーボール状の照明が、まるで夢で見る星空のように美しく煌びやかに空間を照らし出した。そうかと思えば、中盤で披露された“空腹な動物のための”や“誰もが密室にて息をする”ではメジャーバンドらしいド派手なレーザー照明と共に重量感のある演奏が会場を震わせた。“夕立と魚”はまさに夕焼け空のように切なく、そこから徐々に夜の闇に沈んでいくように“水葬”が披露された。まるで3人は、自分たちのスケール感すらも自由自在に操ってしまっているようだ。おいしくるメロンパンはその演奏によって、自分たちのスケールを極めて大きくラウドな領域にまで膨張させることができるし、また同時に、彼らはいつだって繊細で静かな場所に立ち返ることができるのだ。しかしながらやはり、3人それぞれが曲ごとに生み出していく絶妙なニュアンスの変化が本当に素晴らしい。原はダイナミックでありながらも、とても細やかな機微もまたドラムで表現してみせるし、威風堂々とベースヒーロー然とした峯岸はときに朗々と歌い上げるように、ときに吠えるように、ときに音を空気に溶かして滲ませるように強く温かなベースを弾くし、ナカシマのギターは「存在そのもの」を突き立てるような鋭利さを持つと同時に、「夢想そのもの」のようにメロディアスでもある。素晴らしきバンドのフィジカルが、素晴らしき時間を生み出していく。

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ライブも終盤に入った頃に披露された“斜陽”から“未完成に瞬いて”の繋ぎが、光に向かって走り出していくようで素晴らしかった。夕暮れの日差しを眩しく感じるのは、そこに夜の気配があるからかもしれない。そう考えれば、僕らはいつか終わりが来ることを知るからこそ、「今この瞬間」を輝こうと思えるのかもしれない。本編のラストスパートをかけた“千年鳥”の伸びやかな疾走感、そして、“群青逃避行”と“look at the sea”というまるで双子のような2曲の流れもよかった。特に本編ラストを飾った“look at the sea”の情熱的なソロ回しは最高。真っ直ぐ聴き手の心に飛び込んで行きながら、同時に、ずっと3人でセッションを楽しんでいるような、そんな涼やかな佇まいこそが、おいしくるメロンパンだなあと思う。“look at the sea”が終わった瞬間の、3人の凛とした姿に深い覚悟を感じた。

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    ナカシマ(Vo・G)

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本編終了後、アンコールの拍手に応えて再びステージに登場した3人。峯岸が奏で始めたベースのフレーズに会場全体がどよめく。アンコール1曲目は“蜂蜜”。微かな息遣いを捉えるような原のドラミングも素晴らしい。そしてアンコール2曲目には、4月15日にリリースされることが発表された新曲“ツツジの枯れる頃には”が披露された。かなりロックな曲だったが、その激しさの奥においしくるメロンパンらしい、悲しみをなかったことにしない眼差しと、厭世観の奥から導き出す生きる力があるようで、魅力的な曲だった。そしてラストは“シュガーサーフ”の全てを出し尽くすような爆発的な演奏で締め括り。MCは本当にふざけ倒していたので特に書かなくてもいいか、という感じなのだが、本編の終盤でナカシマが言った「僕らはこれからも、自由気ままに音楽をやっていくので」という言葉が印象に残っている。彼らは彼らのままで歩いていくのだろう。

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7月には、4thミニアルバム『flask』、5thミニアルバム『theory』、6thミニアルバム『cubism』の楽曲を再現するツアー「おいしくるメロンパン Chronicle Tour ~リフレイン・ブルー~」が開催されることも発表されている。彼は前に進んでいるから、きっとたくさんの大切なことを思い出せるに違いない。(天野史彬)

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