ツアー「K-ing」のファイナルとなる武道館2daysは、初日の今日=23日(金・祝)をゲストDAY、2日目の明日をノンゲストDAYとする異例の試み。まるでステージ全体が巨大なコンポのように見えるセットが組まれた武道館の舞台に、全身白の正装に身を包んだKREVAは降臨した。ゲストDAY最初のゲストとして登場したのは盟友=CUEZERO。"DAN DA DAN"で絶妙なフロウをキめ、さらにDABOを招き入れての"トリートメント"、Mummy-Dとの≪マジでハンパない!≫セッションとなった"ファンキーグラマラス"を怒涛の3連打でくりだした。KREVAがひとりで魅せるステージと、さらにゲストを加えたステージがめまぐるしく交互に展開されていくなか、"M☆A☆G☆I☆C"では久保田利伸が登場、KREVA曰く「鬼のようにファンキー」な競演に会場全体が酔いしれ、"SWEET SWEETメモリーズ""ひとりじゃないのよ""今日だけでいい"の3曲で登場したレーベルメイト=SONOMIは、澄んだ歌声で会場を包み込んだ。
こんな豪華ゲスト陣が息つく暇なく登場する中で、今日もっとも大きな歓声があがったのは、"くればいいのに"のイントロが鳴った瞬間だった。ステージにはなんと草野マサムネが登場したのだ!≪逢いたいと思うその時には あなたがいない/今すぐ逢いには行けないから あなたがくればいいのに≫という草野マサムネの生の歌声が武道館に響く。「ライヴではずっとSONOMIとやってきたけど、ついにオリジナルVer.をファンのみんなに見せることが出来るぜ!」と感慨深げにKREVAが叫び、曲はスタートした。今年8月、スピッツ20周年ライヴにKREVAがゲスト出演した際に披露されたことはあったものの、KREVAのライヴでは初お目見え。ゲストDAYならではの奇跡のようなステージをかみ締めていたのは、観客の誰よりもKREVA自身だったのかもしれない。マサムネがステージを去った後、「いや〜、ホンモノだったね〜! ホンモノはいいなあ、すげえなあ!! 盛り沢山だな、今日はな!!!」と興奮気味で語る姿がそう物語っていた。
本編が終了し、アンコールを待つ間、観客の手につけられた紫色のケミカルライトにより、会場は、紫の光の海と化した。そう、今日の入場時に、観客全員に「CAUTION!! KREVAには内緒です」と書かれた紙と、アンコール前につけるように指示された紫色のケミカルライトの入った袋が配られていたのである。アンコールに応えて登場するやいなや「うおーめっちゃキレイ! 何その紫!」と観客からのサプライズに感動しつつも、「富良野にいるみたいです」としっかり笑いをとるKREVA。「こんな景色で、こんないいお客さんなら、そうそう帰りたくないですよ!」と言いながらも投下したラストナンバー、"終わりたくないオーワラナイ"で、この空前絶後のゲストDAY、約2時間半にわたるSHOWは幕を閉じた。
贅の限りを尽くした至高のエンタテインメントが凝縮された今夜のライヴで思い知らされたのは、KREVAというアーティストのその唯一無二の才覚と知能犯っぷり、ライム、フロウ、フック、ステージング、MC、そしてゲストとのコラボレーションと、そのすべてにおいてど真ん中のストライクで三振をとってみせるDr.Kっぷりだった。こんなに豪華なゲスト陣を迎えたライヴだったにもかかわらず、終演後につくづく痛感したのは、「ゲストがすごい」ということよりも、「こんなすごいゲスト陣を迎えてこんなすごいライヴができるKREVAがすごい」という、KREVAのショウマンシップへの感服の念だったのである。超人・KREVAの真髄を味わえた贅沢なSHOW、心からご馳走様でした。(前田奈央)
KREVA @ 日本武道館
2007.11.23