エレファントカシマシ @ さいたまスーパーアリーナ

エレファントカシマシ @ さいたまスーパーアリーナ - All pics by hajime kamiiisakaAll pics by hajime kamiiisaka
宮本の耳の病気による、バンド史上初めての活動休止。その曇天の出来事を突き破る太陽のようなライヴを見せてくれた「復活の野音」。あれから4カ月。エレファントカシマシにとって初めてのアリーナ公演であり、最大規模、最大動員となる、デビュー25周年記念スペシャルライヴを、さいたまスーパーアリーナで開催する日がやってきた。

会場に足を踏み入れると、アリーナと客席をびっしりと埋め尽くす人、人、人! 年齢層も、メンバーよりも年上に見受けられる人から子供まで、幅広い。開演時間を過ぎたところでSEが流れ出し、真っ青に染まるステージ。そしてメンバーが登場! 「エブリバディ!」という挨拶から鳴らし出したのは、“Sky is blue”。バックにはでっかいスクリーンが現れ、始まりを告げるような太陽が映し出される。しょっぱなから繰り出される新鮮な演出の数々に、今日は今日しかないスペシャルライヴなんだ、と改めて実感する。

エレファントカシマシ @ さいたまスーパーアリーナ
そして、さらなる衝撃が次の“奴隷天国”で訪れた。スクリーンでカウントアップが行われたかと思ったら、天井から無数のカラフルな風船が降ってきたのだ! そもそもライヴの冒頭で風船が降ってくること自体が珍しいし、しかも“奴隷天国”である。祝祭ムードの中で「死ね」を連呼する宮本を見ながら、全ての絶妙なマッチングに、ヤラれた!と思わずにはいられなかった。それでいて3曲目は「みんなに捧げます」と“悲しみの果て”。この濃い流れに、この先が全く読めなくなってしまった。

「今日はさいたまスーパーアリーナへようこそ! 今日が元旦みたいなもんだ。一緒に“新しい季節へキミと”!」。ここからは金原千恵子ストリングスが加わり、アリーナならではのゴージャスな演奏を聴かせてくれる。さらには「今日は思ったよりいっぱい人入ってくれて驚いています。ありがとう。何とも豪華にやってきたぜ!」とホーン隊が加わり、“今はここが真ん中さ!”へ。この後は終盤まで、ストリングス隊とホーン隊が入れ替わり立ち替わり現れ、名曲を際立たせるようにバックアップしていった。「たくさん練習してきたんでね、たくさん曲があるんだよ」なんて言いながらも「昔、大宮フリークスっていうライヴハウスがありましてね……」と、曲の前振りでも何でもないMCを始めてしまう宮本。思わず客席からは笑いが零れる。その後も、ストリングスとホーンのビシッと揃った演奏が何とも色っぽかった“ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ”、ストリングスの女性二人をフロントに迎えての“Darling”と、しっかり魅せるところは魅せつつも、“シャララ”では石森にこの曲を22年前にレコーディングしたと聞き、「もうちょっとマシな男になってるかと思ったら、何にも変わんないの。驚きました」と言ってみせる……いやいや、何年経とうと、どんなステージでも、揺るがないからこそ、信頼できるのだと思う。

エレファントカシマシ @ さいたまスーパーアリーナ
“デーデ”から暫くは、4人と蔦谷好位置とヒラマミキオというお馴染みの面々で、バンドそのもののパワーを発揮していく。さらに高緑が加入したばかりの19歳の頃から演奏しており、ヤマハのコンテスト『ポプコン』に出場した時にも演奏した“やさしさ”を「せっかくの大舞台なので4人で」と言って披露。続けて、冨永と目を合わせながら演奏する宮本の姿が印象的だった“珍奇男”も! エレカシの骨格の魅力は、大舞台でも鮮烈だった。

再びゴージャスなステージ編成となった“男餓鬼道空っ風”では、驚きの展開が。曲中で宮本が「エレファントカシマシと歌おう、のコーナーがやってきました」と、コール&レスポンスを挟みこんだのだ! ♪ヘーイヘイヘイヘーイヘイと、“学園天国”のメロディを全力で返すオーディエンスに、「どういうことだ!? エブリバディ、ありがとう!」と、慣れないことに戸惑いながらも笑顔を見せる宮本。そして、宮本と蔦谷とヒラマが3人で披露した“風に吹かれて”と“傷だらけの夜明け”、また、戻ってきたメンバーとストリングスを従えて花道で歌った“あなたへ”といった楽曲からは、宮本の感謝を感じ取ることができた。「去年の今頃のことを考えると、信じられない」という言葉が、真っ直ぐ過ぎて染み入った。最後は、その場の全ての人のために呼び掛けているように見えた“俺たちの明日”を歌い終えると、投げキスしてステージを降りていった。

エレファントカシマシ @ さいたまスーパーアリーナ
ここまでで24曲。しかし、あくまで第一部の終了である。カラフルな風船を放り投げながらオーディエンスが待つなか、ほどなく第二部がスタート。おもむろに“今宵の月のように”を歌い出す。「32歳の頃に、佐久間(正英)さんと一緒にやった曲」と言って披露した“さらば青春”、ストリングスが加わって緊迫感が増した“旅”、桜吹雪が舞い上がった“桜の花、舞い上がる道を”とハイライトが続いていく。「みんなの二酸化炭素を吸いながら歌ってるぜ!」と言いながら「俺ばっか水飲んでごめんね」と断るあたりが優しい。「まだ行くぞ、大丈夫か!?」と自らにも気合いを入れるように叫んで始まった“あなたのやさしさをオレは何に例えよう”では、ホーン隊やストリングス隊も含めたメンバー紹介。「音楽って素晴らしい!」、「取り敢えず、今、みんなのこと好きです!」と言い、石森のサングラスを奪う、そんな無邪気な宮本の様子に、25年という奇跡と軌跡の理由が見えた気がした。さらに“so many people”ではステージ全員の愛が結集したかのように、ブライトな演奏に! ストリングス隊が捌け、いよいよ終盤へ。ここからは持っている力を燃やし尽くすような楽曲が畳み掛けられていく。まずはホーンと共に迫力のパフォーマンスを見せた“生命賛歌”。宮本は、高緑の帽子を奪い熱演。そしてホーン隊が捌けて、“ガストロンジャー”。血液がドックドック流れっぱなしのような展開に、1万4000人の拳が突きあげられる。最後は“ファイティングマン”で、全て出し切るように鳴らし、歌い、動き、宮本が「素敵なみんなに幸多かれ!」と言い残して終演となった。

エレファントカシマシ @ さいたまスーパーアリーナ
ここまでで35曲! それでもアンコールが沸き起こるのも凄いし、すぐにメンバーが出てくるのも凄い。まずは4人で“男は行く”を演奏し、無言で去る。しかし、またすぐに出てきて、「ほんとに素晴らしい一日になりました。みんなも、どーんと、いい一年になるぜ!」と言い、蔦谷とヒラマと共に“待つ男”を演奏して大団円となった。総じて4時間! 宮本の声は最後まで出続けていたし、耳の病気の影響はちっとも感じなかった。完全復活を超えて、ロックバンドとしての破格の存在感と、ファンへの大きな感謝、そしてファンの温かな愛情、その全てが証明された、素晴らしいライヴだった。(高橋美穂)

セットリスト
第一部 
Sky is blue 
奴隷天国
悲しみの果て
新しい季節へキミと
今はここが真ん中さ!
彼女は買い物の帰り道
リッスントゥザミュージック
ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ
Darling
シャララ
ココロをノックしてくれ
未来の生命体
デーデ
達者であれよ
今をかきならせ
やさしさ
珍奇男
男餓鬼道空っ風
風に吹かれて(ピアノバージョン)
傷だらけの夜明け
あなたへ
ハナウタ~遠い昔からの物語~
ズレてる方がいい
俺たちの明日

第二部
今宵の月のように
さらば青春
昔の侍

桜の花、舞い上がる道を
笑顔の未来へ
あなたのやさしさをオレは何に例えよう
so many people
生命賛歌
ガストロンジャー
ファイティングマン

アンコール
男は行く
待つ男
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