ロック活況が続くUKでは、何が起こっているのか? 最前線でシーンを牽引するレーベル、ラフ・トレード、ニンジャ・チューンそしてワープが語る、UKロックの現在地【インタビュー全文掲載】

ロック活況が続くUKでは、何が起こっているのか? 最前線でシーンを牽引するレーベル、ラフ・トレード、ニンジャ・チューンそしてワープが語る、UKロックの現在地【インタビュー全文掲載】 - rockin'on 6月号rockin'on 6月号


WARP
(Creative Director、Stephen Christian)


●あなたの現在のインディ・シーンに対する認識を教えてください。スクイッドは個人的にも今最もデビュー・アルバムを楽しみにしているニューカマーです。このバンドのポスト・パンク云々の枠を超えたユニークなクロスオーバー・サウンドはとてもワープらしいと思いますが、彼らのどんなところに魅力を感じて契約したんですか?


「彼らは賢くて、面白くて、クリエイティブで、とてもエキサイティングな音楽を作っているので、特に難しい決断ではありませんでした。バンドと彼らのマネジメント、そしてワープの全員が、スクイッドがどのように進化していくか、それを強化して拡大していくためにどのように協力していくか、というビジョンを共有しています」

●スクイッドのプロモーション戦略であなたが重視したものは何ですか?

「重視しているのは、彼らがいかに素晴らしいバンドであるかです。彼らの素晴らしさを真に理解するにはライブを観るということが不可欠ですが、パンデミックの影響で人々がライブを体験できないため、クリエイティブな方法を見つける必要がありました。

同時に、アルバムに込められたコンセプト的なアイデアがかなり深いものだったので、バンドとその音楽を取り巻くビジュアル、テーマ、コミュニケーション面での“世界”を構築する手助けもしてきました。スクイッドは、集合体としての、およびメンバー1人1人の個性がすべてを特徴づけています。なので理想としては、我々はその邪魔をしないように、彼らの個性が発揮されるようにしたいと思っています」

●もともとテクノから出発し、エレクトロニック・ミュージックに強いワープや、同様にいわゆるギター・ミュージックのイメージがほとんどないニンジャ・チューンのようなレーベルが、いわゆるインディ・ギターに特化したレーベルに先んじてスクイッドやBCNRのような次世代を担うバンドを輩出している逆転現象が興味深いです。この動きをあなた自身はどう分析されますか。

「すべてが素晴らしい音楽であり、それを作るのにどんなツールが使われているかは重要ではありません。私たちは、ともすると制約されるジャンルの概念を覆そうとするような野心を持った音楽やアーティストに興味があるのです」

●エレクトロニック・ミュージック=新しい&革新的、ギター・ミュージック=古い&保守的という固定概念が、Z世代以降の若い人たちの間では意外と薄れてきているのではないか?というのを近年感じます。ジャンルで判断せずニュートラルに評価するリスナーが増えてきているというか。あなたのご意見、実感を伺えますか。

「革新的なのはアーティストであって、ジャンルが革新的なのではないので、あるジャンルが他のジャンルよりも“革新的”であるという考えは、ちょっと馬鹿げています。

ただ人々がそういった文脈を超えて音楽を体験していることは間違いなく事実で、それは完全に理にかなったことです。私たちは、自分の感情に、知性に、精神に、響く音楽を聴くのであって、最終的にはその音楽がどんなタグ付けをされているかは関係ありません」

●あなたが今、インディ・バンド・シーンの最新の動向を知る上で重視しているもの、チェックしている指標は何ですか?

「音楽を聴くことです。特に、NTSNoodsdublabmovementWorldwide FMThe LotLYLなど、世界中の素晴らしいオンラインのインディペンデント・ラジオを活用しています」

●2020年代に成功できるバンド、求められるバンドにとって必須要素とは何だと考えていますか?

「これまでと同じですね。オリジナルであること、自分が作っているものを盲信すること、そして音楽業界の仕組みの大部分に対して健全な懐疑的な態度を持ち続けること」

●新型コロナ・ウィルスのパンデミックを経験したことは、これからのインディペンデント・ミュージック(ジャンル問わず)、インディペンデント・レーベルにどんな影響をもたらすと考えていますか。

「私は希望を持っています。これによってファンが再び地元のシーンに目を向け、その重要な共同体を構成するアーティスト、DJ、ライブハウスなどが持つ価値に注目したり、世界全体としては、企業の無駄な脂肪がいくらか取り除かれることを期待しています。そのうちわかるでしょう」

提供:beatink
企画・制作:rockin'on 編集部
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする