アメリカのHBO系テレビで5月に放映されるニルヴァーナのカート・コバーンのドキュメンタリー作品『Montage of Heck』だが、監督のブレット・モーゲンは観客はこの作品を通して初めてカートと出会うことができると語っている。
モーゲン監督はNMEの取材に対してこの作品は「カートの人生に飛び込んでいくような体験になっている」と語っていて、さらに次のように解説している。
「"スメルズ・ライク・ティーン・スピリット"でカート・コバーンが彗星のように登場してから、カートについてはカルチャー全体で取り憑かれてしまったところがあるんだよね。でも、カートは生前ずっとメディアとの接触をごく限られたものにしていたから、そのせいでカートの人物像というのは過去25年の間、かなり神話的で、投影的で、幻想的なものになってきたんだよ。だから、『Montage of Heck』によってオーディエンスは初めてカート・コバーンという人物と出会うことになるんだよ」
作品のタイトル『Montage of Heck』はカートが1988年に自身で制作したベスト・テープのタイトルを流用したものになっているが、作品の資料となった遺品の中からこのテープを探し出して聴いた時に「カートの頭の中への入り口のように感じた」とモーゲン監督は語っている。
「この映画では文字通りカート・コバーンと一緒にこの人生を経験するわけで、カートの目を通して、またカートの経験を通してカートの人生を追体験するんだよ。ドキュメンタリー作品でそこまでのことがやれるのは本当に稀なことなんだ。この作品はこれまで成し遂げられたことのないこと、つまり、アメリカのアイコン的存在を引きずりおろすわけでもなく、また祀り上げるわけでもなく、カートと目と目で向き合うような形で、剥き出しで誠実なものとして提示していくという、そういう特別な機会になったんだ」
また、モーゲンはこれまでにも作品で未発表の12分にわたるカートのアコースティック音源を使っていることを明らかにしていて、さらに作品で使われている音楽はすべて未発表のカートの作品だとも語ってきている。その一方で、作品中のインタヴューでデイヴ・グロールが登場していないのは、デイヴは実際には作品用の取材に応じてはいたものの、時期が遅すぎたため、編集に間に合わなかったとモーゲンは説明している。
ブレット・モーゲンの動画インタヴューはこちらから。
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