ポール・ウェラー、新旧アンセム連発の全27曲! 3年ぶりの来日ツアー最終日レポート

ポール・ウェラー、新旧アンセム連発の全27曲! 3年ぶりの来日ツアー最終日レポート

5月にリリースされた12作目のソロ・アルバム『サターンズ・パターン』を引っ提げ、10月14日(水)から10月17日(土)にかけておよそ3年ぶりとなるジャパン・ツアーを行ったポール・ウェラー。

RO69では来日ツアー最終日、10月17日(土)横浜公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【ポール・ウェラー @ 横浜ベイホール】

ポール・ウェラーの3年ぶりの来日ツアー、その最終日となる横浜BAY HALLは開演前からむせ返るような熱気に包まれていた。お約束の「ウェラー!ウェラー!」コールが続き、じりじりとオーディエンスのテンションが上がってきたところで遂にウェラーとバンドが登場、間髪入れずに1曲目の“Come On/Let's Go”がスタートする。ウェラーの今日の出で立ちはブルーグレーのぴたっとしたカットソーで、プラチナっぽいさらさらのヘアスタイルといい、相変わらず恐ろしく若々しく、そしてせっかちだ。

アップビートに走りきって決めた“Come On/Let's Go”から間髪入れずハーモニーとメロディでふくよかに聴かせる新曲“I'm Where I Should Be”へ、そして思いっきりファンキーでゴージャスな“Long Time”へと、新作『サターンズ・パターン』のナンバーを中心に、ポール・ウェラーを象ってきたサウンド・スタイルを次々に披露していく。

5月にリリースされたニュー・アルバム『サターンズ・パターン』を引っさげての今回の来日、思えばウェラーは新作リリースのタイミングできっちり来日してくれることが多いアーティストで、彼ほどの大御所でありながら、ちゃんとライヴの最大の動機が新作である人は珍しいんじゃないだろうか。ポール・ウェラーが数多の大御所、ロック・レジェンドの中でも突出しているのは、その生涯超現役感覚なのだ。

そんな新曲に加えて、もちろんザ・ジャム、スタイル・カウンシル時代のナンバーも惜しみなく演るのがこれまたウェラーという人のバランス感覚で、この日最初のジャム・ナンバーは“Boy About Town”だ。ただし激渋ブルース“White Sky”からのリリカル・ビート・ロック“Boy About Town”への落差は相当で、さすがに唐突さは否めなかった。けれどその後のスタカン曲“My Ever Changing Moods ”~“Have You Ever Had It Blue”のメドレーは流石で、ギターをがんがんロールさせるライヴ・アレンジが最高の“My Ever Changing Moods ”といい、ボサノバのリズムに80年代スタカン独自のお洒落スノッブな立ち位置を思い出させてくれた“Have You Ever Had It Blue”といい、場内は在りし日の青春のフラッシュバックで悶絶するオーディエンスが続出だ。いやほんと、スタカンって日本で飛び抜けて人気あるよなあ……と再確認してしまった。

ウェラーがギターからピアノに移動して“Saturns Pattern”、“Going My Way”の新曲2曲を披露したところで、“Into Tomorrow”が始まる。ウェラーが「90年代初頭、俺がカムバックしようともがいていた時に作った曲だ」と紹介したこの曲だが、彼は来日のたびにこの曲についてステージでバックグラウンドを語っている。彼がポール・ウェラー・ムーヴメントとしてソロ活動を開始し、“Into Tomorrow”をリリースした時、本国イギリスではほとんどスルーされたにも拘らず、世界で唯一日本のファンだけが熱くこの曲を受け入れたことを、ウェラーは未だに覚えているからだろう。そんな“Into Tomorrow”後半のインプロ合戦ではサポート・ギタリストのスティーヴ・クラドックが大活躍する。オーシャン・カラー・シーンのスティーヴ、今回のバンドではほとんどバンマスのような立場でウェラーをサポートしていた。

しかしこの日のオーディエンスは本当に熱かった。日本ツアー最終公演だったのも大きいかもしれないが、新旧のナンバーの差もなく大きなリアクションと歓声で応えるその様に、ウェラーもしきりに「ラブリー・オーディエンス!」「ファンタスティック・オーディエンス!」と言いつつ感じ入っていた。個人的には、続く“Above the Clouds”のチルなムードにうっとりと浸る幸福がじわじわとフロアを浸食していく感覚が感動的だった。ソロ・デビュー作『ポール・ウェラー』収録曲、これまた日本での人気が飛び抜けて高いナンバーなのだ。

そんな“Above the Clouds”のチル・ムードを引き継いだ “Long Hot Summer”も素晴らしかった。前回、2012年のZepp DiverCity公演では音響不良ではちゃめちゃな鳴りになってしまいウェラーもキレていたこの曲だが、今回は原曲に忠実なアレンジでばっちり決めてオールド・ファン感涙の瞬間を演出する。ちなみに前回の来日ではパンク、R&B、ブルース、チルアウトとはっきり楽曲の傾向で色分けされたセットリストの並びになっていたが、今回はもっとごちゃ混ぜだ。『サターンズ・パターン』がウェラーの様々なサウンド側面を包括した新作だったことも、このミックス・セットリストを下支えしていたと思うが、“Friday Street”の軽やかなビート・ロック調から展開に次ぐ展開のヘヴィ・ブルーズ・スペクタクル“Porcelain Gods”のギャップ、そしてさらにブルージーにうねり上げる“Peacock Suit”からシンプルな骨格が際立つリリカル・パンク“Start!”へのギャップも凄い。にしても本編ラストのナンバーが“Start!”って締まらないことこの上ないが、これもまたウェラーらしいせっかちイズムで面白かった。

再びのウェラー・コールに応えて最初のアンコールは、新作より“Pick It Up”でスタート。久々に聴けたジャムの“Ghosts”に感涙、そして“Be Happy Children”ではなんとウェラーの娘さん(美人!)と息子さん(美少年!)がステージに登場! 彼が子供たちをこういうかたちでステージに招くのは本当にレア・ケースだと思う。

1回目のアンコールがいわゆるインターバル的なものだったとしたら、“The Changingman”で火ぶたを切った2回目のアンコールは問答無用のヒット・アンセム連打でフィナーレに向かって爆走するセクションだ。オール・ラストの“Town Called Malice”はオーディエンス完全参加の大合唱大会となり、ウェラーだけでなくその場にいたすべての人がこれぞ完全燃焼!と胸を張れるだろう幕切れとなった。約2時間のパフォーマンスで27曲がぎっちぎちに詰め込まれた特濃な一夜、改めて38年にわたって走り続けて来たポール・ウェラーのキャリアの凄さと、そんな彼が超現役でいる2015年に立ち会えた喜びを噛み締めた一夜だった。(粉川しの)

1. Come On/Let's Go
2. I'm Where I Should Be
3. Long Time
4. White Sky
5. Boy About Town
6. Up in Suze's Room
7. My Ever Changing Moods
8. Have You Ever Had It Blue
9. Saturns Pattern
10. Going My Way
11. Into Tomorrow
12. Above the Clouds
13. Paperchase
14. Long Hot Summer
15. Starlite
16. Friday Street
17. Porcelain Gods
18. Peacock Suit
19. Start!

En1. Pick It Up
En2. These City Streets
En3. Ghosts
En4. Be Happy Children

En5. The Changingman
En6. In The Crowd
En7. From The Floorboards Up
En8. Town Called Malice
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