【コラム】SCANDAL、「背伸びをしない」大発見――新作『YELLOW』について

【コラム】SCANDAL、「背伸びをしない」大発見――新作『YELLOW』について

SCANDALはきっと、本格派のロックバンドとして認められたい、という強い思いを抱いて、結成から10年の道のりを歩いてきたのだろう。このバンドの成り立ちからすれば、一般的なロックバンド像とは異なるイメージを世間から持たれるのは当然だし、そんなことは彼女たち自身が百も承知のはずだ。しかし、今のSCANDALのライヴを観ると、ここまでやるか!?というぐらいに研究・練習の熱心さが滲んだフレーズやグルーヴが飛び出してきて、思わず何度も退け反りそうになる。

本格派として認められたい、という思いの行く末にあったものが、ドキュメンタリーとして映画化までされた『HELLO WORLD』のワールドツアーだ。世界を目指すという明確な意図を持ったアルバムがあって、SCANDALというバンドだからこそのドラマがそこには生まれた。その後、『HELLO WORLD』ツアーの続編と位置づけられたバンド初のアリーナツアー「PERFECT WORLD」が昨年12月から今年1月にかけて行われ、最終日の武道館で僕は不思議な感覚を味わった。武道館という大舞台で、あの4人はなんと軽やかに、晴れやかにロックしてしまうのだろう、と感じられたのだ。

その不思議な感覚の理由が、ニューアルバム『YELLOW』を聴いて一発でわかった。海の向こう、時代の向こうに、憧れるべき優れたロックバンドは星の数ほどいる。しかし、SCANDALは今ここ、日本にしかいない。その事実を発見したアルバムなのである。ゴリッゴリのストレートなロックサウンドと風通しの良い日本語の歌詞が見事に折り合い、ありとあらゆる角度からSCANDALのエネルギーとキュートさを映し出す、そういうアルバムなのである。

背伸びをしていないSCANDALのロックが、どれだけ開放的で楽しげに響いているか。『YELLOW』にふれればすぐにわかることだが、重要なのは、彼女たちが10年の背伸びと努力の果てに「背伸びをしないことの素晴らしさ」を発見したということだ。もちろん、いよいよ作詞・作曲をすべてメンバーで手掛けることになった本作にも、「背伸びをしないことの素晴らしさ」を描くための新たなアイデアとスキルが注ぎ込まれている。

現在発売中の『ROCKIN’ ON JAPAN』4月号に掲載されたインタヴューでは、TOMOMIのヴィジョン、RINAの作詞術、HARUNAの歌唱法と、新たな変化がそれぞれに語られていて興味深い。そして記事の最後に、MAMIはこう語っている。「見逃せない存在になりたいなとはすごく思います」と。そう、まさに10周年のアニヴァーサリーと未来に向けて、そういうキャリアを歩むことになるSCANDALの、第一歩となるアルバムなのだ。『YELLOW』は。(小池宏和)
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