エミネムの"Lose Yourself"の使用を巡り、同曲がニュージーランドの法廷で再生される


大ヒット曲"Lose Yourself"を許可なく政党のPRに使われたとして訴訟を起こしていたエミネムだが、先日行われた審理の際、この曲がニュージーランドの法廷で再生されることになった。

"Lose Yourself"は2002年に公開されたエミネムの伝記映画『8 Mile』の主題歌ともなって世界的に大ヒットした。エミネム側はニュージーランド国民党が当時首相だったジョン・キー首相再選のために行われた2014年のキャンペーンでこの音源を許可なく不当に使ったとして訴えを起こしていた。

国民党側は、この音源は業務用音源素材を契約者に提供するオーストラリアの音楽ライブラリー業者、ビートボックス・ミュージックから入手したとしていて、ほかの政党も同じ音源を使ってこれまで訴えを起こされていないと抗弁している。

5月1日には判事と原告、被告との間だけの審理が開廷され、そこで"Lose Yourself"の視聴が行われ、判事と原告と被告の法廷代理人9名が「礼儀正しく」音源を吟味したとAP通信が伝えている。

エミネム側の代理人のギャリー・ウィリアムズは"Lose Yourself"について、エミネムのキャリアを代弁するような象徴的な楽曲で滅多に使用を許可されることがなく、したがって使用権の対価は「とてつもなく高価なものになる」と法廷で説明したとザ・ニュージーランド・ヘラルド紙が伝えている。さらにウィリアムズは次のように判事に訴えたという。

「"Lose Yourself"はエミネムの作品の中でも王冠に施された宝石のような輝きを持つ楽曲です。」

損害賠償などエミネム側の希望については明らかになっていないが、エミネムの楽曲の著作権管理を行っているジョエル・マーティンは法廷に詰めかけた取材陣に対してこの時点でまだエミネムと国民党側が示談に落ち着いていないことに驚いていると語ったという。

「要するに確かなのは、どのような政治的キャンペーンについてもこの曲の使用許可をわたしたちが出すことはありえないということです。」
「そもそもわたしたちはアメリカ人で、ニュージーランドの政治などなにもわかりません。」

"Lose Yourself"に酷似した音源を使った国民党PRはこちらから。

"Lose Yourself"はこちらから。