要注目のバンド・Nulbarich、今までの作品を振り返りながらその魅力を徹底解剖

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  • 要注目のバンド・Nulbarich、今までの作品を振り返りながらその魅力を徹底解剖 - 『Who We Are』通常盤

    『Who We Are』通常盤

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  • 要注目のバンド・Nulbarich、今までの作品を振り返りながらその魅力を徹底解剖 - 『Who We Are』通常盤
楽曲“NEW ERA”が、Honda『GRACE』の新CMソングに決定し、今夏の多くのフェスへの出演も決まっているなど要注目のバンド・Nulbarich。これまでのリリース作品を振り返りながら改めてその魅力を解いてみたい。

まず、Nulbarichはボーカルで楽曲の作詞作曲を手掛けるJQにより結成されたバンド。2016年6月に1stシングル『Hometown』でデビューすると、もともとシンガーソングライターだったJQの作るグルーヴィーでファンクなブラックミュージックをベースとした音楽で瞬く間に注目を集め、結成1年ほどにして日本のポップ・ロックバンドシーンの最前線に躍り出ている。JQ以外のメンバーは固定されておらず、楽曲やライブによって流動的に変化していくスタイルを取っている。

その1stシングル曲“Hometown”は否が応にも聴いていて笑顔になってしまう、多幸感溢れる1曲。イントロからドッシリとしたホーンの音色が印象的、かと思えば《hello》と繰り返す底抜けにハッピーなメロディが飛び込んでくる、その音楽的な気持ちよさに思わずニヤリとさせられてしまう。


その約4ヶ月後、2016年の10月には1stアルバム『Guess Who?』を発売。謎めいたこのバンドを表すタイトルが題されている初のフルアルバムにはシングル曲“Hometown”に加え、今回HondaのCM曲に抜擢された“NEW ERA”など全10曲が収録されている。

Nulbarichの音楽は「日常的」で、歌詞も非現実的なことではなく、身近なこと、身の回りのちょっとしたことを歌っているものが多い。アルバムのリード曲となっている“NEW ERA”も《Good morning to the sun/Let’s go for a walk/気ままに空気ふかせ》、《まぁラフにタフにgo…》といった力の抜けた開放感のある歌詞が歌われている。力を抜いていこう、明日が少しでも良くなるように。普通でいて一番難しいこのことをNulbarichは最高にカッコイイ音楽に乗せてJQの心地よく繊細な歌声で歌ってくれる。だから、Nulbarichの音楽を聴いているときだけは目の前のことを一旦忘れて音楽的な快楽に浸り、そして聴き終わったときには実際の自分の肩の力もスッと抜けている。非日常的過ぎない「日常」に寄り添ってくれる、そんな格好良さがNulbarichの魅力だ。

ほか、ミュージックビデオも作られており、テレビからBGMとして流れる機会も多い“Lipstick”や、JQも「挑戦だった」と語るほどアルバムの中でも特にポップに振り切られたダンスチューン“SMILE”など、音楽の振り幅でも楽しませてくれる。アルバム全体にはメロウで洒脱な空気感が漂い、それでいてポップ。一枚にNulbarichの魅力が「これでもか」と詰め込まれている作品だ。



現時点でのNulbarich最新作は今年の5月に発売された1st EP『Who We Are』。今作もソウルやアシッド・ジャズといった音楽をベースにしながらも、確実に鳴らされている音は現代的で新しく、それでいてJ-POP的な要素も取り込まれているから聴いていて飽きないし、繰り返し聴くたびに新しい発見があるからすごい。全4曲の中でもリード曲であり、ラジオでのパワープレイも記憶に新しい“It’s Who We Are”はイントロのファンキーなギターのリフで一気に心掴まれる楽曲。曲のテンポも相まって少し背伸びしながら街を歩き出したくなる、そんな1曲だ。ほかにも、突き上げるようなアッパーなサビに奮い立たせられる“Ordinary”など粒ぞろいのEPに仕上がっている。


楽曲の世界観を作っているという意味ではミュージックビデオもまた欠かせない。バンドのキャラクターでありHondaのCMにも出演を果たした(?)「ナルバリくん」が登場するミュージックビデオは新進気鋭の監督らが手掛けておりアニメーションから実写までどれもお洒落だ。楽曲をより引き立て、何度も見たくなる魅力が詰まっている。

Nulbarichには新譜の度に「こんな音楽を鳴らすバンドが日本に居るのか」と驚かされる。圧倒されるほど洗練されていて、都会的。だけど手が届きそうで、自分たちに寄り添ってくれる音楽。聴いているとこちらまで少しイケてる気分になれる。結成1年ほどでここまで惹きつけられるNulbarichがこれからどんな音楽を発表してくれるのか今から楽しみで仕方ない。(菊智太亮)
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