草野マサムネのレギュラーラジオ番組、記念すべき第1回目の放送を聴いた!

草野マサムネが、久しぶりにラジオのレギュラー番組をスタートさせた。TOKYO FM『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』というタイトルで、全国34局、一部地域を除いて、毎週日曜21:00〜21:55の放送。1月7日、その記念すべき第1回目の放送を聴いて、彼がセレクトする選曲ひとつひとつに「やっぱり!」とか「なるほど!」とか「意外!」とか、いちいちワクワクさせられてしまったのであった。「次はどんな曲をかけてくれるんだろう」と思いながらラジオを聴いたのも久しぶりだったかもしれない。

「あけましておめでとうございます」という挨拶の言葉から始まった初回の放送。「1時間も好きなことをしゃべって好きな曲をかけられる。仕事というより趣味がひとつ増えたという感じ」と、草野自身が冒頭のトークで語っていた通り、リラックスした雰囲気で番組は進行。第1回目ということで、「ロック大陸に上陸した頃、主に1979年頃にハマった洋楽を中心に」、その思い入れを語りながら曲をかけていく。最初にかけたのは“My Sharona”だった。1979年、ザ・ナックのデビューシングルで、知らない人はいないだろうという名曲(この曲が収録されているアルバム『Get the Knack』もパワーポップの名盤なのでぜひ)。で、これをフル尺でかけるという、そこに草野のロックへの愛とこだわりを感じた。“My Sharona”といえば、まずはあのギター&ベースのリフだけれど、実は終盤の意外なほどに長いギターソロこそが聴きどころで、今思えば、このポップだけれどハードにドライブするギターの感じとかは、そのままスピッツのルーツにもなっているのだなあと感じる。

続けざまにかかったボストン“Don't Look Back”もそう。トム・ショルツというポップ職人が作り上げるメロディは限りなくキャッチーなのだけれど、どこか変質的なギターリフが耳に残るのだ。「この2曲は小6〜中1の時に夢中になって聴いていた」と言っていたが、これをワクワクしながら聴いていたマサムネ少年の姿が目に浮かぶようだ。このポップネスと高らかに鳴るギターの音色が、今も褪せずに彼の胸の中にあることは、スピッツの最新作や最近のライブを観ていると、とてもよくわかる気がする。その後のトークでは「今回だけかもしれないけど」と、スタジオにぞうさんギター(フェルナンデス ZO-3)を持ってきていることを告げ、“My Sharona”と“Don't Look Back”のフレーズを弾いて、「この2曲は最近、楽屋で手癖のように弾いているんだよね」と言っていたのも印象的だった。

その後も、「ロック大陸にもアイドルがいたんですね」と、キュートな女の子が激しいロックを奏でる「いわゆるギャップ萌え」の女性ロックミュージシャンの草分けとして、スージー・クアトロ“Can The Can”をかけたり、「洋楽の歌詞でここまで感心させられたのはこの曲が初めて」と、ポリス“Message In A Bottle(孤独のメッセージ)”を紹介したり、「グラムロックとヴィジュアル系の架け橋だったのでは」と、JAPAN“The Unconventional(奇しい絆)”をかけ「これまで知らなかった世界」に触れた時のことを語ったり。1時間番組でありながら、選曲したものをほぼフルでかけるという、それでいて、その曲にまつわる草野の思いもしっかり伝わる内容で、まさにラジオを聴いて新しい音楽に出会って自分の世界が広がっていく──そんなフレッシュな気持ちを思い起こさせてくれる番組だった。草野自身も、少年時代には「実家ではいつもラジオがかかっていて、歌謡曲の番組が多かったけど、前後にポップスのベスト10番組なんかもあって、そこで洋楽にハマっていった」と語っていた。おそらくその頃の空気感を自身の番組でも醸し出せればと思っているのだろう。

言わずもがなだが、番組タイトルにつけられている「ロック大陸」という言葉は、スピッツの最新アルバム『醒めない』に収録された同名曲の歌詞に登場する言葉である。


《まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が/最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められてる/さらに育てるつもり》

そう、この番組の趣旨は、この歌詞の通りだと思う。今後、番組ではリスナーからのリクエストや曲に関する思い入れなどを募って、どんどん紹介していくという。そこでまた草野自身もロック大陸の新たな一面を再発見したりするのだろう。次回以降は、「最近のヘビーローテ曲」とか「ゲストを呼んだり」とか、様々な趣向を考えているところだという。また、最近のラジオを聴いていて「打ち込み系のデジタルな曲が中心になっているなと」感じていたという草野。スピッツの曲にも、打ち込み曲があるし、全然それを否定しているわけではないけれど、この番組については、「人力の、生のドラムや弾き語りの曲を中心にかけていきたい」とも語っていた。次回またどんな曲をセレクトしてくれるのか、とても楽しみな番組。スピッツファンのみならず、これからどんどん音楽の世界を広げていきたい人に、激オススメです。(杉浦美恵)