草野マサムネのラジオ番組にスピッツ全員集合! 4人が「メタル愛」を語りまくる放送回を聴いた

1月からスタートしたスピッツ・草野マサムネのレギュラーラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』(TOKYO FM・JFN34局)。ロックに魅了された少年時代から今なお探検し続けているロックミュージックの世界――“醒めない”の歌詞で言うところの「ロック大陸」を自由に横断するこのプログラムに、スピッツのメンバー=三輪テツヤ、田村明浩、﨑山龍男が2/18・2/25の2週にわたって登場。出演者は4人のみというシチュエーションによって、彼らにとっての「音楽の原風景」が浮かび上がる時間となった。

1週目の序盤、「3人にとっての『ロック大陸初上陸』の頃の曲」という最初のお題に対して、三輪:ジューダス・プリースト“The Hellion”〜“Electric Eye”を挙げ、「実はジューダス・プリースト、この番組で2回かかった最初のアーティストです」(草野)、「あ、マサムネもかけた?」(三輪)といきなりメタル愛が噴き出したところに、田村がアイアン・メイデン“Purgatory”で追撃。「小学校の頃はチープ・トリックとかクイーンとか聴いてたんだけど、中学校の時にメタルが来たじゃん?」と振り返る田村に、「ポール・ディアノ(Vo)が素行が悪かったか何かで、3枚目からブルース・ディッキンソンっていう普通のハードロックの上手い人に替わったじゃん? あれがね、当時の俺的には嬉しくなくて……」と草野が続ける。
「当時の俺のメタルの先生は、田村と伊藤政則だったからね」(三輪)、「あの頃『BURRN!』も創刊されたり、中学生が夢中になる要素が多かったんだよね」(草野)と次々に話が転がり、スタジオ内のメタル密度が刻一刻と高まる図が手に取るように伝わってくる。

また、﨑山は横浜銀蝿“あせかきベソかきRock’n Roll run”。「友達と『演奏してみたいね』ってことで盛り上がって。一応ベースやることになって、ベースは買ったんだけど、実現しなくって」と「元ベーシスト」の原点を明かす﨑山の話を受けて、「今聴くとアレンジとか面白いよね。当時はどっちかっつうと俺、ヤンキー怖い方の側だったから、ちゃんと聴いてなかったけど」と草野。同時代の音楽を聴いて育った者同士ならではのリアルな「同窓会感」が広がる。

一方、「最近よく聴く気になる曲」というテーマに対しては、三輪:ヌーノ“You”、田村:フラワーカンパニーズ“NO YOUNG”、﨑山:BAND-MAID“alone”と三者三様。特に、﨑山が挙げていたBAND-MAIDについて「最近さ、Aldiousとかもそうだけど、女性のバンドも上手いよね? 俺らの世代だとさ、バンドやるのってだいだい男子で、女性は歌かキーボードっていうことが多かったけど、今はそういう垣根がなくなってていいよね」と語る草野の言葉は、今のシーンへの自然な目配りも感じさせるものだった。

そして2週目。「これこそロック! 俺のマスターピース」というお題に対して、三輪選曲によるディオ“Stand Up And Shout”がかかったところから、またもメタル談義に突入。「俺だけじゃない、みんなそうでしょ?」と振る三輪に、「俺、移動中とかに『何か聴きたいな、ロックの曲』と思って、聴くものに困ったら、とりあえず“Stand Up And Shout”よ」と草野も納得。田村はラッシュの“The Spirit Of Radio”を挙げつつ「最初に田村バンドっていうバンドをやってたの、テツヤと。そのバンドって、ギター3人、ベースがふたりいたの(笑)。そのもうひとりのベースがラッシュをすごく好きで、すごく上手くて」と三輪との幼馴染みエピソードを語り、﨑山はLOUDNESS“LOUDNESS”について「高校の文化祭で、最初はベースだったんだけど、ドラムの奴が受験か何かで抜けて『俺がやる!』って」と自らの「ドラマー人生」の原点について明かしていた。そこへ草野が「俺、実はLOUDNESSが初めて生で観たロックバンドなんだよ」と「親に隠れて聴くロック」の原点を語る――といった具合に、スピッツの音楽世界とは一線を画した、しかし確実に通奏低音として確実に存在する嗜好性が露わになっていく。

そして、メンバー3人への最後のテーマは「スピッツのライブでカバーしてみたい曲」。三輪:THE GROOVERS“Lonesome in a crowd”(三輪いわく「俺、弾かないで聴いていたいんだよね(笑)」)、田村:クワイエット・ライオット“Cum On Feel The Noize”(草野「実はスピッツもカバーしたことあるんだよね。日本語で歌詞作ったんだよ、当時。でも、またやるんだったら新たに作り直したい」)、﨑山:ゲスの極み乙女。“ロマンスがありあまる”(﨑山「カバーバンドで去年の年末にやったんですよ。めちゃめちゃ練習した(笑)」、草野「これ、合宿して練習しないと」)……というセレクトについて語り合う場面からも、「メンバー個々の音楽愛を重ね合わせる場所としてのスピッツ」が浮かび上がってきて、無性に嬉しくなった。

デビューからもうすぐ27年、結成からは30年以上を過ぎてもなお、その楽曲とメロディのファンタジックな色彩感と裏腹に、日暮れを惜しんでいつまでも遊び続ける少年のような躍動感を宿してもいるスピッツの音楽。4人にとっての終わりなき「ロック大陸」の旅路――その始まりの景色を鮮やかに見せてくれた、珠玉のひとときだった。
なお、2週目=2/25放送回の模様は、オンエア後1週間以内であればradikoのタイムフリー機能で聴けるので、今からでもぜひ。(高橋智樹)
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