【サマソニ2018予習】チャンス・ザ・ラッパー、見るべきポイントはここ!

【サマソニ2018予習】チャンス・ザ・ラッパー、見るべきポイントはここ!

今年はフジロックにケンドリック・ラマーが出演し、サマソニには、チャンス・ザ・ラッパーが待望の初来日で出演する! アメリカの今を象徴する重要なアーティストが揃って夏フェスに出る、何と記念すべき年なのだろうか! チャンスは、実際去年アメリカのフェスでは初にして最多のヘッドライナーを務めた正に今のアメリカのメインスリームを背負って立つアーティストだ。弱冠25歳だが、すでに既成概念を壊す手法でいくつもの成功を獲得している。何より、10代の頃より地元シカゴのアングラ・シーンでミックステープを発表し始めた彼は、最新作で3枚目となる『カラーリング・ブック』に至るまで、何と1枚もアルバムを発売していないのだ。全ての音楽は無料で配信。レーベルには属さず完璧にインディペンデントのシステムを作っている。それでいて、全米ベスト10入りを果たした史上初のアーティストとなったばかりか、何とグラミー賞で7部門にノミネートされ、3部門も受賞する前代未聞の快挙を成し遂げた。

アメリカでも最悪と言える犯罪都市シカゴを拠点にしながらも、暴力社会から我々を救うのは、音楽の力だけなのだとラップする彼のライヴは、まるで教会に行くような体験となる。彼のポジティヴィティと確固たる信念に触れると、あまりの高揚感に満たされて、本当に最悪な世界から抜け出せるのではないかと思えてくるのだ。作品においても、カニエ・ウェストやケンドリックと並び、ヒップホップ・シーンでも、最も野心的で、豊かなサウンドを生み出すアーティストであり、とりわけ『カラーリング・ブック』では、アフリカン・アメリカンの深い歴史をサウンドに託し、60年代の黒人公民権運動の魂を今に呼び起こすようにゴスペル・サウンドを響かせている。

チャンスがステージに登場した瞬間に思わず笑顔になってしまうようなライヴは、彼の天性の明るさが溢れ出た内容で、ケンドリックのシリアスさとは相反するのもまた良い。セットリストは、去年はアメリカのフェスで初のヘッドライナーだったため、彼のキャリアの代表曲が連発する頂点に次ぐ頂点だった。ライヴ全体の流れで最新作の世界観を味わえるものではないのだが、フェスでは、むしろそれが望まれているはずだ。この初来日を、思う存分セレブレーションすべし! (中村明美)



「SUMMER SONIC 2018」のタイムテーブルは公式サイトでご確認ください。
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