父ジョージ・マーティンの意志を継ぐジャイルズが『ホワイト・アルバム』50周年記念盤を語る。「彼らはお互いを支え合っていたんだ」

父ジョージ・マーティンの意志を継ぐジャイルズが『ホワイト・アルバム』50周年記念盤を語る。「彼らはお互いを支え合っていたんだ」 - 『rockin'on』2018年12月号より『rockin'on』2018年12月号より

ザ・ビートルズにとって通算9作目、初のダブル・アルバムとして発表された『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』の発売50周年記念エディションが、いよいよ11月9日にリリースされる。

『ロッキング・オン』12月号では、オリジナルのプロデューサーであるジョージ・マーティンの息子で、今回の50周年記念盤のプロデューサーを務めたジャイルズ・マーティンに行ったインタビューを掲載している。

ジャイルズは、昨年リリースされた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の50周年記念盤に続いてプロデューサーを務めることとなったが、今回手がける『ホワイト・アルバム』について、どんな認識を持っていたのだろうか。

(中略)『ホワイト〜』はとてもリミックスしやすいだろう、そう思っていたね。というのも、『ホワイト〜』は少なくともミキシングの過程は非常にスピーディに作業が済んだアルバムの一つであって、『サージェント・ペパーズ』のような作品ではない、というのがあったから、「ああ! このサウンドを作り出すのはきっと素晴らしい作業になるぞ!」と感じていたね。

ところがやっていくうちに気づいたのは、これは想像していた以上にはるかに複雑な仕事だ、ということだった。困難ではないけれど、とにかく入り組んでいた。この作品の録音のされ方はそれまでとは違うものだったし、音の響き方も重要であって。要するに、『ホワイト〜』のお腹にガツンと響くような、ある意味トラッシーとすら言っていい、あのサウンドは持たせなくてはいけないから、小綺麗にし過ぎることはできない。クリーンにし過ぎると作品のパーソナリティを損ねてしまう。

というわけで……このプロジェクトをやるのに適した心構え、心理空間の中に入っていくのに、エモーショナルな意味でしばらく時間を要したね。ただ、我々は最終的にその場所にたどり着けたと思っている。


『ホワイト・アルバム』は、メンバー個々の興味や才能が反映され、バンドとしては結束力が失われる時代に制作された作品だと一般的に思われている。

今回プロデュースするにあたり、改めて残された録音を聴いていてどう感じたのか、と訊かれたジャイルズは、以下のように答えた。

うんうん、その一般的な見方は事実なんだろうし、正しいと思うよ。

ただし、私に一つだけ付け加えさせてもらうとしたら、4人が「個人」として作っていった、的な見方はちょっと違うんじゃないか?と。というのも、残されたテープを聴いて言えるのは、彼らは全員お互いを支え合っていたんだな、ということだ。たとえジョンが“ジュリア”を一人で書いてきたとしても、レコーディングの際にはポールが立ち会っていた。他のメンバーは一切演奏に参加しては
いなくても、レコーディングにはポールが付き添っていたんだよ。

各人がリードをとってレコーディングしていたとしても、彼らはやっぱり「バンド」として作業していたんだ。ある意味『ホワイト〜』は――いくつかの物事に対する彼らの反応/反動だったんじゃないかな。


また、今作の作業の中で手のかかった曲について訊かれると「意外かもしれないけれども、“ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス”だったね」と答え、元の音源の良さをいかに引き出すか、その苦労についてもインタビューでは語られている。

当時ビートルズが鳴らしていたであろうサウンドでよみがえる『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』50周年記念盤について、『ロッキング・オン』12月号を読むことで、さらに深く聴き込むことができるはずだ。



ジャイルズ・マーティンのインタビュー記事は現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

父ジョージ・マーティンの意志を継ぐジャイルズが『ホワイト・アルバム』50周年記念盤を語る。「彼らはお互いを支え合っていたんだ」 - 『rockin'on』2018年12月号『rockin'on』2018年12月号
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする