トム・ヨークが『サスペリア』サントラの制作で得た達成感とは? 「頭に浮かんだアイデアが具体化して生命を吹き込まれたのを感じた」

トム・ヨークが『サスペリア』サントラの制作で得た達成感とは? 「頭に浮かんだアイデアが具体化して生命を吹き込まれたのを感じた」 - 『rockin'on』2019年1月号より『rockin'on』2019年1月号より

来年1月25日に日本公開予定のリメイク版映画『サスペリア』の音楽を手がけ、そのサントラ『Suspiria (Music for the Luca Guadagnino Film)』を10月にリリースしたトム・ヨーク

『ロッキング・オン』2019年1月号では、同サントラについて迫った、トム・ヨークへの独占インタビューを掲載している。

映画『サスペリア』で初めて長編映画のスコアを制作したトムだが、もともとサントラ作りに興味があったのか訊かれると、以下のように答えた。

たぶん……僕は、ここ何年か、ジョニー(・グリーンウッド)がポール(・トーマス・アンダーソン)の作品に取り組んでいるのを見てきたわけだよね。で、それを眺めつつ、「僕もああいうことがやれたらいいのに」と考えている自分がいた、と。

けれども、僕の思考の仕方、そして僕自身の能力からすれば、それは自分にはほんと……(軽く一息ついて)だから、自分には「歌」という構造云々、そういった点からしか音楽を考えることができないだろう、そう感じていたんだよ。

そうしたら、なんとも不思議なことに友人のマーカス・ウェインライト――ファッション・ブランド「ラグ&ボーン」の経営者の彼から、自社のファッション・ショー向けのプレイリスト作成の依頼をもらい始めるようになってね。何年かそれをやってみたところで、僕としてもプレイリスト作りには飽きた、みたいな感じになってきて、そこで「何か自分でクリエイトできないか、やってみるよ」と提案したんだ。

で、気がつくと10分ほどの音楽ピース群に――そのほとんどはナイジェル(・ゴドリッチ)と一緒に作ったものだけれども――そういうピースに取り組んでいる自分がいた、と。そうやっているうちにふと、「これってそんなに……自分が思っていたほど難しくはないんじゃない?」と考えるようになって――それでも、かなり難しい作業なんだけれども。


これまでにレディオヘッドの音楽でも、映画作家や多くの視覚芸術家を刺激してきたトムだが、普段とは逆とも言える制作プロセスについて、何かクリエイティブな満足感や制約などを感じたのだろうか?

(中略)どんな作品に取り組むのであれ、やっぱり何がしかの制約の範疇内で仕事しているわけでさ。たとえ自分ひとりで作業していたとしても、「これはやってみるべきいい思いつきだ」と自分で思える、その制約の中で仕事をしていくわけだし。

だから、他人から「こういうことをやって欲しい」と指図を受けて、それを自分なりに解釈していくことには、ある種奇妙な「自由」の感覚があったよ。

ただ……毎回こういうプロセスを踏みたい、というものではないけれども。というのも、いずれにせよ僕は常に何かに取り組み仕事
している、みたいな状態だから。というか、僕には仕事が必要なんだ。だから、世界を理解しその意味が通じるようにする方法、僕にとって、それは作品を作ることを通じて、なんだよ。それが自分の見方だし、これまでもずっと、僕はそういう風にやってきたから。


では、実際に音楽と映像がひとつになり完成した映画を観たとき、トムはどう感じたのか。

「僕には……観れないな」と苦笑いしながら答えたトムは、以下のように続けている。

(中略)あれだけ制作中に繰り返し観てきただけに、免疫がついてしまった、もう観れない、みたいな? だから、こう考えてもらうと分かりやすいだろうけど――僕は、ある女の子が可哀想なことに、鏡張りの部屋をあちこち引きずり回され、バラバラにされる悲惨な場面を6ヵ月間も眺めてきたわけ。(苦笑)。もう、完全に慣れて免疫がついてしまった、と。

観てもちっとも怖くないし、麻痺して何も感じない(笑)。そうは言いつつあの瞬間、“ヴォルク”の流れる場面を映画館で、ちゃんとした素晴らしいサウンド・システムを通じて耳にした時は――この音楽に取り組む前、ずっと以前の段階で、ルカがあの場面を説明してくれた際に僕の頭に浮かんだアイデア、あれが具体化して生命を吹き込まれたのを感じたね。


インタビューではその他にも、『サスペリア』の監督を務めたルカ・グァダニーノとのやり取りや、2014年に発表した『トゥモローズ・モダン・ボクシーズ』に続くソロ新作の動向についても語られている。

映画音楽という新たなジャンルに挑戦したトム・ヨークが、その葛藤などを赤裸々に明かした同インタビューの全容は『ロッキング・オン』1月号にて確認を。



トム・ヨークのインタビュー記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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