【いだてん解説】金栗四三のマラソンに捧げる青春が男臭~く始まった!

「越えてけ、越えてけ、なあ、四三!!」――金栗四三(中村勘九郎)をそう言って励ましたのは兄の実次(中村獅童)だった。NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第3回は、四三が憧れの嘉納治五郎(役所広司)を追って東京高等師範学校へ行きたいという本音を遂に兄に告げた。この兄は、いつだってやたらと熱い男で、嘉納治五郎を越える男になれと熊本から大事な弟を送り出そうと決意する。

いざ、SL列車に乗りこんで東京へ向かおうとする四三と親友の美川秀信(勝地涼)を見送るシーンも凄まじいインパクトで描かれた。列車の窓から「行ってまいります!」と四三が言うと、実次は既に両の鼻から立派な鼻水を垂らしている。そして彼が「ばんざ〜い!」と叫んだ瞬間にその2本の鼻水も同時に舞い上がった。四三も大量の鼻水を流してそれに応える、暑苦しすぎるほどエモーショナルな別れのシーン(における中村獅童の熱演!)だった。

一方で、やがて東京生活でホームシックになった四三が夏休みに帰省した際に、その列車を春野スヤ(綾瀬はるか)が自転車に乗って猛スピードで追いかけたシーンも目に焼き付いた。袴姿で時速30キロを出したという綾瀬はるかのさすがの身体能力に視聴者からも大きな反響があったようだ。

上京したての四三と美川からは目にするもの全てにワクワクしているような様が伝わってきて、いつの時代も東京は、地方から来た多くの若者を魅了してきたんだなと思った。オリンピックどころか、スポーツさえも、何よりマラソンを知らなかった四三が、マラソンに出会った街、東京。このマラソンとの出会いは四三にとってかけがえのない青春の始まりでもあるのだろう。まだまだ始まったばかりの『いだてん』だけれど、どの場面にも登場人物の人情味と、生き生きとしたエネルギーが感じられるドラマだなとつくづく思う。(上野三樹)

【『いだてん』第2回解説!】素人子役の名演から綾瀬はるかの自転車節まで
「生きろ、四三。父ちゃんのぶんまで、走れ」――後に日本初のオリンピック選手となる金栗四三(中村勘九郎)の父・信彦(田口トモロヲ)は、そう言い遺して死んでいった。NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』第2回は明治10年の熊本を舞台に、四三が強靭な肉体と脚力を身に着けていった少年時代を描い…
【『いだてん』第2回解説!】素人子役の名演から綾瀬はるかの自転車節まで
大河ドラマ『いだてん』、初回放送はここが見所だった!
「私が聞きたいのは……楽しいの? 楽しくないの? オリンピック」――という台詞。1月6日にスタートしたNHK大河ドラマ『いだてん』で、日本のオリンピック初出場のために奮闘した嘉納治五郎役・役所広司が発したものだ。宮藤官九郎による脚本、大友良英による音楽、そして横尾忠則による大胆な題字でも話題を集め…
大河ドラマ『いだてん』、初回放送はここが見所だった!

公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする