【10リスト】フレデリック、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】フレデリック、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
兵庫県神戸市で結成された4人組ロックバンド、フレデリック。2012年にMASH A&R主催のオーディション「MASH FIGHT! Vol.1」で特別賞を受賞すると、2014年にミニアルバム『oddloop』でメジャーデビュー。ポップだが絶妙に捻りの効いた楽曲群、全国各地での精力的なライブ活動、ユニークなMVなどを通じて独自の路線を確立し、着実に人気を集めていった。この記事ではバンドのディスコグラフィから10曲をピックアップ。変化に挑み進化を重ねる彼らの歩みを振り返っていきたい。――のだが、結成当初より「ダンスミュージック」を掲げ、その本質と多様性に向き合ってきたこのバンドには、いわゆる代表曲を押さえるだけでは捉えきれない奥深さ、面白さがある。この10曲を足掛かりに他の曲も深掘りしていってもらえたら、心から嬉しい。(蜂須賀ちなみ)

※2022/4/19 更新


①オドループ

メジャーデビュー作『oddloop』に収録。YouTubeで公開されたMVは約4ヶ月で再生回数100万回を突破。新人バンドとしては異例の速さで広まったため、この曲で彼らを知った人も多いのでは。10年代邦楽バンドシーンのトレンドである高速四つ打ちビートを取り入れたアレンジ、ループを用いたフレージング、語呂の良い言葉を用いた歌詞を組み合わせたこの曲は「中毒性が高い」と話題に。全曲を手掛けるソングライター・三原康司(B)の「(曲を)忘れてほしくない」という想いがそういった拘りに直結しているようだ。旧風営法へのメッセージとも読める、ユニークだが鋭い歌詞にも注目。


②オワラセナイト

ミニアルバム『OWARASE NIGHT』に収録。“オドループ”でも見られた赤頭隆児(G)の特徴的なメロにグロッケンを重ねる手法、押韻・反復による言葉遊び、MVにおける女性2人の無機質なダンスなど、私たちが「フレデリックらしい」と感じる要素が詰まっている曲。メジャー2作目ということもあり、自分たちの強みを確立せんとするバンドの気概が窺える。この頃から康司が書く曲の根幹にある「終わりと始まり」、「夜と朝」的なテーマが表出するようになってきた印象。

③オンリーワンダー

『oddloop』、『OWARASE NIGHT』で強固にさせた奇天烈ポップサウンドと、『OTOTUNE』で顕著になった「感情をストレートに歌う意思」が一体となって生まれた、フレデリックならではの応援ソング。リリース当時のライブで、元々自分たちが「MASH FIGHT! Vol.1」で特別賞を受賞したバンドであることと紐づけながら曲紹介をしていたように、応援ソングでありながらも、フレデリックが歌う理由に迫るような内容にもなっている。そういうバランス感含め、メジャー初のシングルの表題曲にふさわしい曲だ。


④ナイトステップ

バンド初のフルアルバム『フレデリズム』に収録。70~80年代を彷彿とさせる、ミドルテンポのディスコソングだ。フレデリックといえば①〜④で挙げたようなテンポの速い曲をまずイメージする人もいるかもしれないが、それはこのバンドの一面に過ぎない。『フレデリズム』収録曲は特にバリエーション豊かであり、その中には後のライブ定番曲も多数含まれる。今回取り上げた10曲をチェックし終えたあとは、このアルバムを聴いてみるといいかもしれない。


⑤まちがいさがしの国

高橋が正規加入してから初のシングル『かなしいうれしい』のカップリング曲。匿名を盾に取り、すぐに他人の揚げ足を取る人々を揶揄する歌詞はいつになく鋭い筆致であるため、リリース当時、新鮮に思った人も多いのではないだろうか。ライブでは、三原健司(Vo・G)がギターを弾かずにハンドマイクで歌っており、これ以降、そういうタイプの曲が増えている。ライブパフォーマンスにおける可能性を広げる役割を担った曲だといえるだろう。


⑥峠の幽霊

原曲はインディーズ期のライブ会場限定盤に収録されているが、廃盤のため現在入手不可(ライブ音源は『かなしいうれしい』の初回限定盤に収録)。しかしライブではたまに登場するため、ファンの間では影の名曲として知られている曲。また、「YON FES 2017」では04 Limited Sazabys・GENがリクエストするなどアーティストからの人気も高い。フレデリックの初期曲には童謡に近いエッセンスを感じるものも少なくないが、この曲では“かごめかごめ”の一節が引用されている。幻想的な麗しさと得体の知れないおどろおどろしさが共存するスローバラードだ。


⑦TOGENKYO

ミニアルバム『TOGENKYO』に収録。康司が綴るソングライターとしての苦悩や願いを、健司がまっすぐに歌い届けるという構図に、ボーカリストとソングライターが別の人物である、そして両者が双子の兄弟同士であるこのバンドならではの美しさを感じる。間奏などに登場する《桃源郷 待って 待ってほら》というコーラスがアウトロで《桃源郷 舞って 舞ってほら》という表記に変わる点にも注目。フレデリックの曲には同音異義語を利用した粋な表現が多いため、この曲に限らず、歌詞をじっくり読みながら聴くことをおすすめしたい。


⑧飄々とエモーション

バンド初のアリーナワンマンにあたる、2018年4月・神戸ワールド記念ホール公演のアンコールで初披露された曲。大会場で効果的に響くようなサウンド、フレージングが用いられているほか、2番サビ後にはライブで観客がシンガロングしやすいようなパートが設けられている。そして“飄々とエモーション”という冷静と情熱が共存するようなタイトルも、彼ら自身のことを上手く言い当てられていてすごい。フレデリックが自分たちの立ち位置やモードを客観視し、バンドとしてのメッセージへと変換することに長けたバンドであること、そうすることにより、一歩ずつ着実に進んできたバンドなのだということを改めて実感させられる。


⑨逃避行

2ndフルアルバム『フレデリズム2』に収録。スタイリッシュなギターリフとゴツッとしたビートとの組み合わせが歪で面白く、彼らならではのダンスミュージックの形がまた新たに提示された手応えがある。歌詞において促音(小さい「っ」)を多用し、言葉のトメハネを際立たせる歌い方をすることにより、ボーカルがどこか打楽器的に聴こえる瞬間があるのも興味深い。《ばっくれたいのさ》という他の曲ではあまり見かけないワードを繰り返すサビは特にリズミカルで軽やかだ。(蜂須賀ちなみ)

⑩YONA YONA DANCE(フレデリズムVer.)

須田景凪との共作ナンバー“ANSWER”とともに、アルバム『フレデリズム3』の中でも強烈な存在感を放っているのが、和田アキ子への提供曲“YONA YONA DANCE”のセルフカバーバージョン。日本が誇るR&Bの女王からの楽曲依頼に対して、R&B/ソウル系のリズムに「寄せた」アプローチではなく、フレデリックならではのハイパーでポップなビート感で挑んだことで、この上なくスリリングな化学変化を生んでいた“YONA YONA DANCE”。“オドループ”以降の楽曲とバンドサウンドの進化が、誰にも上書きできない「フレデリックというジャンル」として結実している――ということを、キーもBPMも上げて快走する「フレデリズムVer.」の高揚感がまざまざと物語っている。(高橋智樹)


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