MAN WITH A MISSIONはこの10年間で私たちに何を教えてくれたのか?――初のドキュメンタリー映画を観て

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結成10周年を迎えたMAN WITH A MISSIONのドキュメンタリーフィルム『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』が本日2月14日より2週間限定公開(2/14~2/27)されている。今作は、MAN WITH A MISSIONを10年間追いかけてきた、カール・クーパーなるアメリカ人ジャーナリストによる取材や、メンバーや関係者、バンドマンへのインタビューをもとに構成されたもので、バンドの歩みとスピリットがさまざまな証言と角度から立体化していく作品になっている。面白いのは、バンドをよく知るプロデューサーやレコードショップ、ライブプロモーター、対バンをしてきた10-FEET・TAKUMA(Vo・G)、BRAHMANTOSHI-LOW(Vo)などバンドマンたちが語るMAN WITH A MISSION像だろう。この10年で、ロックバンドとして、何よりこの狼という出で立ちで全国アリーナツアーやスタジアムでのワンマンを成功し、海外ツアーや全米デビューも果たすなど、その充実した年表だけを追ってみると、さぞや優秀な仕掛け人でもいるのだろうと思うところだが、各証言者たちの言葉をはぎ合わせていくと、泥臭く人間臭い(狼なのでややこしいが)「バンド」だということが伝わってくる。飛躍の1曲となった“FLY AGAIN”制作時の話なども、彼らのミュージシャンとしての視野の広さやビジョンの高さというものが窺えるし、その逆にライブの話では、しっかりと足元を見て真摯に活動をしているのがわかる。作品中でジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)は、「何カヲ証明シタイトヤッテキタ10年」だと語っていたが、その言葉を裏付けていくものとなっていて、ファンにとっても答え合わせができる作品だ。

そういったシリアスな面があり、一方でメンバーのターンとなると各自のキャラクターが出たほのぼのとした映像になるその緩急も見どころ。ステージ上ではカッコよく、また究極の生命体として一見するとコワモテなのだが、普段の彼らは愛嬌たっぷり。ちょっとした仕草ひとつでも画面での映えっぷりが最高なのもまた、MAN WITH A MISSIONの愛される理由だろう。「狼専用翻訳機・ガウトーク」を用いて初めて実現した各メンバーのインタビューも、それぞれのナイスなキャラクターが出ているので、そんな人柄ならぬ狼柄を知って彼らの音楽に触れるのも一興だろう。結成10周年イヤーとして、夏には新潟県・苗場スキー場でバンド史上初の野外フェス&ワンマンライブ「THE MISSION」を行うことが発表されたりと色々な企画が準備されているようだが、その第一弾としてMAN WITH A MISSIONの復習・予習ができるドキュメンタリーフィルムだ。(吉羽さおり)