弱冠15歳の3年前、ビリー・アイリッシュはいかに未来を見抜いていたのか――彼女の原点がリアルに焙り出された2017年秘蔵インタビュー!

弱冠15歳の3年前、ビリー・アイリッシュはいかに未来を見抜いていたのか――彼女の原点がリアルに焙り出された2017年秘蔵インタビュー!

「自分からは年齢を言わない、みんな知っちゃってるけどね。でも私自身は知ってほしくなくて、だって知ったら私じゃない何かとして私を見るから。脳ミソに年齢はないの。ただの脳で、これが考えて、これが感じて、そして私が感じるんだよ」


ここにご紹介するのは2017年9月、ちょうど3年前に世に出た、15歳のビリー・アイリッシュのインタビューである。当時の彼女は、同年にハイペースでリリースしたシングルを集めたファーストEP『ドント・スマイル・アット・ミー』をリリースしたばかり。“ベリーエイク”に“コピーキャット”に“アイドントワナビーユーエニーモア”といった収録曲は、緩やかに変化を描き出していた。フィニアスのプロダクションにはジャズやヒップホップの影響が入り込み、音色はどんどん複雑化。オリジナリティは磨かれ、ビリーの歌は聴き手の心をかき乱し、イマジネーションをたまらなく刺激するようになった。中でも“コピーキャット”は、今思うと“バッド・ガイ”に真っすぐつながるデンジャラスな匂いを放っていたものだ。

そんな彼女の名前はネクスト・ビッグ・シングとしてすでにあちこちで聞かれていたわけだが、先を急ぐことなくツアーに時間をかけ、2019年3月にようやくアルバムを発表し、グラミー賞主要4部門を独占……というその後の歩みは説明するまでもない。コロナ禍で今年のツアーは中断したものの(本来なら今頃「ビリー観た?」という話で巷は持ちきりだったのかもしれない)、2020年も飛躍の年になりつつある。

7月には、ロックダウン下のひとりの時間が生んだ名曲“マイ・フューチャー”で、早速新しい時代に突入。ライブ初披露の場に民主党大会を選び、「ドナルド・トランプは私たちの国を破壊している」と言葉を濁さず視聴者に話しかけ、未来への希望を歌いながら投票を促した。「自分の生死がかかっていると思って票を投じて」と。他にも大統領選を前にポリティカルな意思表示をする場が増え、厄介なソーシャル・メディアの世界をナビゲートしながら、自身の影響力を積極的に行使している。

そこまで成長を遂げたからこそ、3年前のビリーの言葉に今触れるのは非常に興味深い。曲作りを始めたきっかけ、デビュー曲“オーシャン・アイズ”のこと、フィニアスとの関係、ソングライターとしてのスタンス。ある意味今更訊けない重要な質問に率直に答えており、自分を取り巻く環境の変化をいたって冷静に受け止めているところも印象的。初々しいというより、15歳にして早くも完成していた感がある。今同じ質問をしても、答えはあまり変わらないのではないだろうか?(新谷洋子)



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