『rockin'on』2021年5月号より「ツアーってある意味人生を粉々にする究極の粉砕機みたいだけど、美しいんだ。
すごく辛くて、来る夜も来る夜もこれをやるのは、かなり自分の力が試される。
そして俺たちは毎晩100％を捧げてる」
レッド・ホット・チリ・ペッパーズの黄金期幕開け宣言となった『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』が出てから、もう30年だという。つくづく、早い。
それからのRHCPに起こった出来事、事件を追うだけで呆然とするが、そんななかでもひるむことなく走り続けてきたのが彼らであり、その力を真に蓄え、吐き出した象徴があのアルバムであった。その真価をしっかりと捉えるためにこれだけの年月が必要であったのかもしれないし、この現場感ハンパないレポートを読むと、濃密な成果を刻んでいくグループの姿が浮かび上がる。
ビートルズもキャリアを積んだハンブルグ、伝説の歓楽街レーパーバーンでのパフォーマンス、フロント・アクトに迎えたヘンリー・ロリンズの筋肉の鎧に覆われたハードコア・サウンドに対抗するRHCPの〈ハードコア＋ファンク〉のヘヴィネス。
誰も止められないエネルギーを放射して突進するツアーの一場面をスパッと捉えたレポートからは、歓喜と狂気が背中合わせになったカーニバルの一座が見えてくる。
この大騒ぎを続けながら、彼らは歴史を作っていったのだ。（大鷹俊一）
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『rockin'on』2021年5月号
