ゲイリー・ムーア没後10年―― 未発表曲を集めた『ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット』リリース。一人ひとりの闇夜を浄めてくれる「一音入魂ギター」炸裂の秘蔵ナンバーに浸ろう!

ゲイリー・ムーア没後10年―― 未発表曲を集めた『ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット』リリース。一人ひとりの闇夜を浄めてくれる「一音入魂ギター」炸裂の秘蔵ナンバーに浸ろう!

闇夜に寄り添ってくれる泣きのギターに何度救われたことだろう。アイルランドの至宝、ゲイリー・ムーアが未発表スタジオ音源で構成されたニュー・アルバム『ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット』を発表する。ニュー・アルバム=新作という解釈だと、少しニュアンスは異なるかもしれない。しかし、全8曲トータル45分の中身を聴き終えると、それもあながち間違いではないかもしれない。そう思えるほど充実の蔵出しナンバーが勢揃い。

2011年2月6日、ゲイリーは享年58で心臓発作により他界した。ここからさらに円熟の道を極め、我々の感情を震わせ続けてくれるに違いない、と信じた矢先の訃報に世界中のファンが大きなショックを受けた。

その悲しみから早くも10年の歳月が流れ、没後初となるスタジオ音源がここに到着。中でも注目すべきはバラード“イン・マイ・ドリームズ”だろう。ゲイリーのソロ活動はハード・ロックで80年代を駆け抜け、全世界で300万枚以上の大ヒットを記録した『スティル・ゴット・ザ・ブルーズ』(90年発表)で転機を迎える。

その後はブルース路線を推し進めるものの、デビュー作『バック・オン・ザ・ストリーツ』(78年発表)収録の名曲“パリの散歩道”を筆頭に稀代のバラード職人としての顔も持ち合わせていた。この“イン・マイ・ドリームズ”もイントロから哀哭のフレーズを忍ばせ、浪花節のごとき人生を投影させた泣きのギター・ソロが爆発。ほかに、B.B.キングのヒット曲である表題曲をはじめ、フレディ・キングやエルモア・ジェイムスのカバーも聴き応え十分。

さらに別アレンジによる再録曲“ラヴ・キャン・メイク・ア・フール・オブ・ユー”におけるロング・トーンのギターも素晴らしく、アイルランドのチャリティ・アルバム提供曲“リヴィング・ウィズ・ザ・ブルース”は、本作のラストを飾るに相応しい陰影に満ちたスロー曲だ。今宵も、ブルースの雨で涙を洗い流してくれる一音入魂のプレイに浸ろうか。(荒金良介)



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ゲイリー・ムーア没後10年―― 未発表曲を集めた『ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット』リリース。一人ひとりの闇夜を浄めてくれる「一音入魂ギター」炸裂の秘蔵ナンバーに浸ろう! - 『rockin'on』2021年5月号『rockin'on』2021年5月号
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