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ロジャー・テイラー(クイーン)
クイーンの前身にあたるスマイルが結成されたのは、ブライアン・メイによる「ミッチ・ミッチェル、ジンジャー・ベイカーのようなドラマー求む」という募集広告にロジャー・テイラーが応えたことが発端となっている。実のところ、超ヘヴィなビートを聴かせるわけでも、露骨にテクニカルなプレイを披露するわけでもないだけに、彼のプレイはさほど特徴的とは言い難い。
が、逆に言うとダイナミックさからスウィング感、小技を光らせるセンスといったすべてを持ち合わせ、多様なクイーンの楽曲を効果的に盛り立てているのが彼なのだ。ある意味、ロックンローラー然としたたたずまいをしていながら、オーケストラの一員的な役割に徹しているかのような部分もある。
それは、彼がドラムのみならずギターやキーボードも手掛け、自らもボーカルをとる総合的な音楽家であり、ソングライターであることとも無関係ではないだろう。つまり、担当楽器の譜面だけではなく楽曲全体の像、アルバムのなかでのその曲の役割といったものまでが、しっかりと捉えられているのだ。
そして、クイーンとしての起点となったこの第一作に収録されているデビュー・シングル“炎のロックン・ロール”では、何よりも彼のドラム・ソロが耳を引く。この曲が、新たなスター・ドラマー誕生を告げるクイーン伝説の序章となったことを考えると、なかなか感慨深いものがある。(増田勇一)
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