【10リスト】SKY-HI、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】SKY-HI、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
ポップアーティストとしての音楽センスと、揺るぎないアティテュードに裏打ちされたラッパーとしてのスキルとを合わせ持ち、ジャンルを超えて様々な名曲を生み出し続けてきたSKY-HI。SKY-HIの音楽性は振れ幅が広く、ジャンルや国籍などの垣根を超えたコラボレーションも含め、とにかく自由だ。けれどその1曲1曲は、表現するジャンルやテーマを妥協なく深く掘り下げた濃密なものばかりである。SKY-HIの場合、大袈裟でなくすべての楽曲に語るべきエピソードがあり、今回10曲に絞るのは至難のワザであった。ピックアップした楽曲はいずれも、現在、そして未来のSKY-HIを語るうえで欠かせないものばかり。これを機に、ぜひ時系列で聴いてみてほしい。(杉浦美恵)


①愛ブルーム

AAAのメンバーとして活躍しながら、2006年頃からヒップホップシーンでも独自に活動を開始し、様々な客演やライブを行ってきたSKY-HIが、2013年にメジャー1stシングルとしてリリースした楽曲。その1stシングルは“RULE”との両A面でリリースされ、華やかなディスコサウンドに乗るキャッチーな“愛ブルーム”と、ストイックにヒップホップに向き合う“RULE”と、当時のSKY-HIの音楽表現の二面性をよく表している。ポップミュージックの時代性を敏感に捉えるSKY-HIと、ヒップホップを真摯に追求していきたいSKY-HI、そのどちらもが自分自身であり、それを同時に表現できるのはSKY-HIならではだという自負。その原点がここにある。特にこの“愛ブルーム”の弾けるようなポップネスには、SKY-HIのオープンマインドで、閉塞した世界に留まるつもりは毛頭ないという強い意思が感じられ、それは現在のSKY-HIの躍動とも地続きだ。

②カミツレベルベット

2015年3月にリリースされた3rdシングル。2016年1月リリースのアルバム『カタルシス』にも収録されている。思い切りポップに振り切ったこの楽曲は、現在もライブのセットリストに入ることが多く、絶大な人気を誇る初期曲にして重要曲。踏まれれば踏まれるほどたくましく育つカミツレ(カモミール)と、しなやかで美しいベルベット──SKY-HIはこのふたつのモチーフに自身の生き様を重ね合わせた。ポジティブなメッセージを鮮やかなポップスに落とし込む見事なアレンジを手がけたのは蔦谷好位置。2019年末のライブ「Count Down SKY-HI」の前に行ったファン投票で1位になった楽曲でもあり、それを経て2020年にはベストアルバム『SKY-HI’s THE BEST』用にボーカルの再録と新たにミックス&マスタリングを行い、同バージョンはアナログ7インチでもリリースされている。

③Seaside Bound

“カミツレベルベット”から約4ヶ月という短いスパンでリリースされた2015年7月リリースの4thシングル表題曲。SKY-HIの「ポップ」をまた別ベクトルで押し広げた楽曲で、心に訴えかけるエモーショナルな歌とラップが胸に響く。SONPUBとの共作で完成したこの曲はベースミュージックの疾走感が楽曲の軸になっているが、メロディはロック、エモの熱さを感じさせるもの。SKY-HIのジャンルレスな音楽性が、1曲のなかで表現されたような楽曲であり、彼の音楽への向き合い方を象徴する1曲とも言える。まずSKY-HIが、SONPUBプロデュースを意識してビートを作ったというところからも、SKY-HIのコライトのスタンスがよくわかる。SKY-HIはどんな共演でも、そこにそのアーティストやプロデューサー、あるいはラッパーがいる必然を重要視する。その必然性が生んだ、SKY-HIならではの、いわゆるサマーチューンとは一線を画す名曲だ。

④ナナイロホリデー

この楽曲は、その制作過程自体がひとつのストーリーであり、SKY-HIにとっての大切なマイルストーンとなった曲ではないかと思う。SKY-HIは2016年4月に喉の手術を受けている。この曲はその前にほぼ制作も完了していたものだった。しかし手術後も休養が必要で復活までには少し時間を要し、情緒不安定な日々だったという。そして再び音楽活動を開始すると、SKY-HIのなかには音楽を作る喜び、歌う喜びが溢れて、完成を待つばかりだった“ナナイロホリデー”にも、違った想いが込もるようになる。結局、メロディも歌詞もトラックも大幅に変更されてこの曲は完成し、2016年7月、7thシングルとしてリリースされた。爽やかなディスコサウンドに乗るポップチューンが、SKY-HIの新たなスタートをポジティブに映し出す。ちなみに、SKY-HIが現在もツアータイトルに用い続けている「Round A Ground」という言葉は、この楽曲のリリックに登場する。

⑤Marble

SKY-HIは通常のオリジナルアルバムのほか、企画アルバムやコラボアルバムなどもフットワーク軽くリリースするアーティストである。この“Marble”は「すごくいい曲ができた」ので当初はシングルリリースを予定していたらしい。しかし結果的には配信限定の企画アルバムとしてリリースされた。というのも、このリリース後には初の海外公演を含むツアーが予定されており、オリジナルアルバムとベストアルバムの間のような役割のアルバムが必要とされたのだろう。結果論かもしれないが、“Marble”という楽曲が持つ、様々な色が混ざり合うイメージ――異質なもの同士に生まれる軋轢、そして理解──は、広く世界に目を向けるからこそ生まれたものだったのではないか。振り返れば、現在のSKY-HIの音楽が孕むメッセージや、時を経て、日本のアーティストを取り巻くシステムに変革をもたらしたいと動き出す、その端緒であるとも言える楽曲であり、とても重要な1曲。

⑥Name Tag feat. SALU & Moment Joon

オリジナルはまずSKY-HIの盟友とも言えるSALUと、韓国出身・大阪在住のリアルラッパーMoment Joonを迎えて作られた。SKY-HIのヒップホップへの想い、そのスキルが容赦なく突きつけられた楽曲である。リアルで硬質なリリック、強く耳に残るフロウ、あらためてSKY-HIのすごさを実感すると同時に、彼のフィーチャリングの遊び心、境界なしのスタンスも感じさせる。まずは2018年夏にフリーダウンロードで公開されたミックステープ『FREE TOKYO』に収録されたのがこの楽曲。そしてその後、アルバム『JAPRISON』のボーナストラックで、“Name Tag -Remix- feat.Ja Mezz & HUNGER”として新たなバージョンを制作。韓国人ラッパーのJa Mezz、そしてGAGLEのMCとして活動するHUNGERを迎えてのリミックスも話題に。そこで終わらないのがSKY-HIだ。さらなるアップデートとして、オリジナルとリミックス、それぞれでフィーチャリングした4人全員を参加させた(もちろんSKY-HIも)MVを制作。その再更新というか最更新バージョンのスリリングさには、SKY-HIのプロデューサーとしての類稀なる資質を存分に感じる。

⑦New Verse

近年のSKY-HIを語るうえで、まず2018年12月にリリースされたアルバム『JAPRISON』の存在は欠かせない。SKY-HIの現在の取り組みにもつながる、日本のポップスもヒップホップも「まだまだこんなもんじゃねえ」という強い想いがここにはあり、音楽に限らず日本で感じる閉塞感を打ち破りたいという想いを感じ取ることができるアルバムだ。そのテーマを真に説得力のあるものにするには、まずはSKY-HI自身が感じている閉塞感を言語化し、感情を解放する必要があった。“New Verse”という楽曲は、そのきっかけとなった楽曲だ。この曲には「ともだち:元・天才」というクレジットがあり、元・天才とはSKY-HIと親交の深いぼくのりりっくのぼうよみ(現・たなかDios)のこと。“New Verse”は、その元・天才との口喧嘩から生まれたという。元・天才はSKY-HIに対して「感情を表に出していない」という指摘をする。そこから意図的に始めた「口喧嘩」でお互いをディスリ合うという荒療治を経て、SKY-HIは自身の弱さに向き合うことができた。そしてそれをさらけ出すような“New Verse”が完成したことをきっかけに、『JAPRISON』のテーマは大上段からのものではなく、リアルなメッセージとしてリスナーに届くものとなっていったのだった。

⑧Sky’s The Limit

2020年9月にリリースされたベストアルバム『SKY-HI’s THE BEST』に収録された新曲であり、アルバムリリースに先駆けて先行配信された楽曲。これまでのSKY-HIの集大成として存在するベストアルバムにあって、現在のラッパー、ポップアーティストとしての自身のスキルとアイデンティティを有無を言わせず突きつける楽曲である。SOURCEKEYが手がけたインダストリアルなトラックの上で、SKY-HIのフロウが凄まじいキレを見せる。アーティストとしてのひとつの節目と新章とを表現するタイミングで、《お前の不可能が俺のベーシック》と自ら言い切るには、テクニックとセンスに裏打ちされた相当な自信が必要不可欠で、それを間違いなく満たした楽曲。SKY-HIがたどり着いたひとつの境地がここにあった。

⑨Dive To World feat. Takuya Yamanaka (THE ORAL CIGARETTES)

2021年9月に配信シングルとしてリリースされ、アルバム『八面六臂』にも収録された。SKY-HIはロックバンドへの客演やコラボでも常に高い評価を得るアーティストであり、彼の存在自体がロックというジャンルと非常に相性のいいものであることは多くの音楽ファンの知るところだろう。2019年にはTHE ORAL CIGARETTES主催イベントにSKY-HIがラインナップされ共演も果たした。それ以降も山中拓也(Vo・G)とは、互いにシンパシーを感じ合う「親友」と呼べる存在であることをSKY-HIは公言していたが、そのふたりがようやく正式に楽曲を共作し完成させたのが、この“Dive To World feat. Takuya Yamanaka (THE ORAL CIGARETTES)”。突き抜けた山中のブライトなギターサウンドと、とびきりオープンなSKY-HIの歌声とを、トラックメイカーのKMがロックとエレクトロのハイブリットなビート感覚で見事にまとめあげている。SKY-HIならではのミクスチャー感覚が炸裂し、この時代だからこそ生まれた超ポジティブなロックアンセムとして仕上がった。SKY-HIの音楽性を、これまで大きく「ポップ」、「ラップ」とカテゴライズしてきたが、SKY-HIには「ロック」のカテゴリーも必要であることを明確に知らしめた1曲である。

⑩One More Day feat. REIKO

SKY-HIは若き才能の発掘・育成に取り組むためにBMSGという会社を立ち上げて、本格的な活動を開始した。その一環としてボーイズグループオーディション「THE FIRST」をスタートさせたのが2020年。アルバム『八面六臂』は、そうしたSKY-HIの社長業・プロデュース業における様々な出会いも、アルバムのテーマに反映されている。アルバム1曲目の“To The First”などは、まさにそのオーディションのテーマ曲としてすでに多くの人に愛されている楽曲である。であれば、アルバムのラストにはこのオーディションイヤーを締めくくるような楽曲が必要だとSKY-HIは感じた。だからこそ、「THE FIRST」がもたらしたすべての出会いに感謝するような、“One More Day feat. REIKO”という楽曲ができあがったのだ。オーディションのファイナリストでありながら、結果としてはBE:FIRSTのメンバーとなるには至らなかったREIKOが、クリエイティブ審査で発した《One More Day》というフレーズが、SKY-HIがこの楽曲を作る発端となっている。REIKOの才能は、BE:FIRSTとは違う道で輝くと見極めたからこその抜擢であり、「THE FIRST」がその場限りの話題先行のオーディションではないことを裏付ける。SKY-HIがこの楽曲についてInstagramで「一生の宝物が出来ました」とコメントしていたように、“One More Day”は彼の人生を語るうえでも外せない1曲となった。


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