すべては終わりゆくという無常観と、それでもその中を歩んでいく者としての不屈の意志。聴く者を瞬時に捉えるポップの引力と、バンドサウンドに身も心も焦がし続ける無垢なロックの衝動──。ボカロP・煮ル果実はそんな相反する要素の狭間から、鮮烈なメロディと音像で僕らを痛快に射抜いてくる。“ヲズワルド”や“紗痲”“トラフィック・ジャム”といった代表曲のみならず、Ado、ナナヲアカリ、Sou、ロクデナシなど他アーティストへの楽曲提供でもその才気を発揮し続ける煮ル果実。新作ミニアルバム『OOPÁRK』はまさに、そんな煮ル果実の真価の高純度結晶の如き作品だ。すぐにひもとかれる音楽が、僕はあまり好きじゃない。
とにかくいろんなものを詰め込もう、別に解けなくてもいいし、解かれなくてもいいしって
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」への書き下ろし楽曲“ヘイヴン”、声優・梶裕貴の声を元にした音声合成ソフト「梵そよぎ(そよぎそよぎ)」を軸に展開するキャラクタープロジェクト「そよぎフラクタル」への提供曲“ブラフマン”などの8曲、さらにCDには、「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE High↑」参加楽曲“オーパーツ”を含むボーナストラック2曲と、これまで以上に色彩豊かな音楽世界を描き上げた『OOPÁRK』。しかし、同時に今作は、煮ル果実というアーティストが内包する「解けない謎」、そして表現者としての揺るぎない意志を雄弁に物語る作品でもある。
昨年末には「COUNTDOWN JAPAN」にも初出演を果たした煮ル果実。本誌初登場となる今回は、その表現の核でもある「謎」の在り方に迫った。
インタビュー=高橋智樹 撮影=Takeshi Yao
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年5月号より抜粋)
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