アリゾナ州法をめぐってコナー・オバーストがビルボード誌に反対意見を掲載

アリゾナ州法をめぐってコナー・オバーストがビルボード誌に反対意見を掲載 - ブライト・アイズ 07年作 『カッサダーガ』ブライト・アイズ 07年作 『カッサダーガ』

ここでも何度かお伝えしているように、アメリカのアリゾナ州では通称SB1070法という州法が成立し、この法が施行されると不法入国している外国人と思しき人物についてはいつ何時でも自由に警察の捜査の対象にしてもよくなってしまうので、恣意的で人種差別的な捜査を可能にすると大きな議論を呼んでいる。これに対してレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのザック・デ・ラ・ロッチャがザ・サウンド・ストライクという組織を立ち上げ、この法に反対するミュージシャンを募り、アリゾナ州での活動をボイコットする運動を展開している。

今のところ、ソニック・ユース、カニエ・ウェスト、ナイン・インチ・ネイルズ、ジェニー・ルイスらが賛同して運動に加わっているが、当のアリゾナ州ではこの法に反対する勢力からもこのボイコット運動を批判する声が上がっている。アリゾナ州をベースにするコンサート・プロモーターで活動家でもあるチャーリー・レヴィは公開質問状をアリゾナ・リパブリック紙に掲載し、「ボイコットすることは、この新法を成立させた了見の狭い発想に対抗するための、自由な言動と意見の交換を促す人々と場所そのものを奪うことになってしまう」と反論している。つまり、ロック・コンサートやアート・イベントなどこそがそうした意見がたたかわされる場でもあるので、アーティストたちがアリゾナ公演をやめるということはそうした場がなくなっていくことに繋がるというわけだ。むしろ、アリゾナに来て積極的に反対を唱えてほしいというのがチャーリー・レヴィの意見だ。

これに対してコナー・オバーストは自身がなぜザ・サウント・ストライクを支持し、アリゾナ州ボイコットに賛成するのかを綴ったチャーリーへの回答をビルボード誌に掲載した。

「ぼくがアリゾナ州のマーキー・シアターに集ったキッズに、みんなの聞きたいことを言うためにのこのこ出かけてみたところで、それこそ誰にとってもろくなことにはならない。ぼくにできるのは、この国でも長い間みたことのないほどの規模の大きさと効果を誇る今度のボイコット運動を支え、何かの役に立てられることくらいだ」とコナーは説明する。

「もし(どっかの市民運動みたいな言い訳をつけて)いつもの仕事モードに戻ってしまったら、それこそこの運動は、音楽における政治活動などという、ただの派手なお題目だけのものに成り果ててしまうだろう。ボイコットをやめれば、ぼくたちも心苦しくはなくなるだろうけど、そんなことではアリゾナ州の政治を数十年も独占してきた過激で人種差別的な一部の勢力の発想を変えることなど少しもできやしないだろう」

さらにコナーはこの法を支持した人たちはどういう人たちなのかとこう断じている。「こういう人たちが大切に思っているものは明らかにお金と権力であり、それと移民と白人以外の市民を2等人類として扱うアングロ系中心の警察国家を生み出し、維持していこうということだ。こういう人たちは白人以外の市民の人権を剥奪し、アメリカの企業社会と白人社会に隷属させようとしている。彼らはあくどい階級闘争を仕掛けようとしている。これは純粋に、かつ単純に悪辣な行為だ」。

サウンド・ストライクのサイトはこちらから(→http://www.thesoundstrike.net/)

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