オッド・フューチャー、歌詞が同性愛者を敵視しているとのクレームによりビッグ・デイ・アウトの出演中止に

タイラー・ザ・クリエーター2011年作『ゴブリン』

ニュージーランドとオーストラリアの各所を回っていくツアー型ロック・フェス、ビッグ・デイ・アウトへの参加を予定しているオッド・フューチャー(OFWGKTA)だが、歌詞が同性愛を敵視しているというクレームを受けてニュージーランド公演への出演が見送られることになった。

クレームを起こしたのはニュージーランドはオークランドの活動家カラム・ベナッチーで、オークランド市庁にオッド・フューチャーの歌詞が同性愛者に対して不当なものであることを訴えたとニュージーランド・ヘラルドが伝えている。オークランドの場合、公演を行う会場となっているマウント・スマート・スタジアムが市の所有物となっていて、今回の苦情を受けて市が主催者側にオッド・フューチャーを出演陣から外すか、ビッグ・デイ・アウトの開催許可そのものの見直しに応じるのかの二者択一を迫ったため、やむなくオッド・フューチャーの出演を見送ることになったという。ただ、オーストラリア公演については予定通りオッド・フューチャーも参加することになっていて、主催者側はオークランドでも別会場でオッド・フューチャーの単独公演の実現に向けて動いているという。

ベナッチーはビッグ・デイ・アウトの主催者に向けた書簡でオッド・フューチャーの歌詞についてこう述べていたという。「オッド・フューチャーによって演奏されている歌詞の類はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどといった人たちへのある種の社会通念や言説を煽ることになります。そして、こうした言説はいじめや暴力を促すものでもあります」。さらにベナッチーは「ゲイとは摘出されるべき社会のがんだ」という言説がまかり通るとするなら、次にはどのようなグループが標的とされるのだろうかと問いかけている。

さらにベナッチーはこう続けている。「ビッグ・デイ・アウトにオッド・フューチャーを出演させることで、あなたたちはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の生活や福利に関してまったく配慮をしていないこと、さらにはこうした人々に危害が及ぶことを望んでいるということ、こうした人々に悪いイメージを植えつけようと意図していることを自分から証明することになります。若者の自己啓発力を高め、偏見を取り除き、暴力を抑制させることに多大な力を発揮でうる組織がこのようなことに甘んじていることに大きな失望を感じます」。

一方、ビッグ・デイ・アウトのプロモーターであるケン・ウェストは善後策について次のように語っている。「今ぼくたちもオッド・フューチャーと話を詰めてるところで、ここ数週間のうちにバンドのオークランド単独公演を発表することになります。オーストラリア公演への影響はまったくないです」。

ビッグ・デイ・アウトは来年の1月20日にニュージーランドのオークランド公演を皮切りに、シドニー、メルボルンなどオーストラリアは5都市回ることになっていて、ほかにはカニエ・ウェスト、カサビアン、サウンドガーデン、マイ・ケミカル・ロマンス、バトルズ、ベスト・コーストらが出演する。


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