ニューヨークの伝説のクラブ、CBGBへのニルヴァーナの出演が実現したことがなかったのはバンドが店に300ドル(約2万4千円)のギャラの上乗せを要求したからだという事実が明らかになっている。
ニューヨークでは2006年に閉鎖したCBGBを冠したフェスティヴァルが7月5日から開催されていて、4日間の開催のうちにおよそ30軒の会場でバンドが300組出演することになっているが、初日の5日にはランドマーク・サンシャイン・シネマでニルヴァーナのベースのクリス・ノヴォゼリックによる基調講演が行われ、そのなかで今回のフェスのオーガナイザーであるルイーズ・パルナッサ=ステイリーがこの事実を明らかにしたと『ローリング・ストーン』誌が伝えている。
この事実を伝えられてクリスは「まあ、俺たちは大企業に心も身体も売った男娼バンドだったんだよな」とおどけてみせ、「アナーキズムなんて言ってる場合じゃなかったな」と笑い飛ばしてみせたとか。
そのほかにクリスは1時間かけてカート・コバーンの話や、CBGB出身のバンドで自分の影響となったザ・トーキング・ヘッズ、ブロンディ、ザ・ラモーンズらへの思い、さらに現在のように票の格差の改善を目指す活動に携わるようになった経緯などを語ったとか。特にカートについては「カートはその後の充実した人生を送るのにふさわしい人間だった」と観衆に訴えたという。
また、講演の前にクリスは『ローリング・ストーン』誌との取材にも応えていて、自分が政治を意識するようになったのは19歳だった1984年に大統領選挙で共和党のロナルド・レーガン大統領に対して民主党のモンデール候補に投票した時からだと語ったそうだ。その後民主党員として活動してきたが、資金団体活動の現実に幻滅して2009年に離党し、現在は無党派として活動しているとクリスは語っている。
肝腎の音楽活動についてはベースはまず滅多にもう弾かないそうだが、カートにもらったアコーディオンでドアーズの“ハートに火を点けて”を弾くのにここ1年は取り憑かれているそうだ。「あのキーボード・ソロとか全部弾けるんだよ。俺の内なる(レイ・)マンザレクにそうやってチャネリングしてるんだね」
さらにデイヴ・グロールが製作しているサウンド・シティ・スタジオのドキュメンタリー映画用のサントラ音源についても、「なんか進行中だと思うよ」と実際に作業を進めていることをほのめかしている。ただ、具体的なことについては「デイヴに訊いてみなよ」とのことだ。