レッチリ、スーパーボウルでのテープ演奏についてフリーの公開書簡の全文訳を掲載

レッチリ、スーパーボウルでのテープ演奏についてフリーの公開書簡の全文訳を掲載

2月2日に行われたNFLスーパーボウル・ハーフタイム・ショーのブルーノ・マーズのステージに客演したレッド・ホット・チリ・ペッパーズだが、実はアンソニー・キーディスのヴォーカル以外のバンドのパフォーマンスはテープ演奏だったことを認めている。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズはブルーノ・マーズのパフォーマンスの5曲目で登場し、“Give It Away”の演奏を披露したが、この時のフリーのベースがまるでアンプとは繋がっていない様子だったことがネットの画像などで指摘されていた。これに対してフリーは次のように公開書簡で答えている。全文訳は以下の通り。

「スーパー・ボウルで“Give It Away”をやってくれないかとNFLとブルーノから要請を受けた時、ヴォーカルはライヴになるが、ベース、ギター、ドラムはあらかじめレコーディングされることになると事前にも通告されていたんだ。ステージの設置に数分間しかないこと、さらになんかヘマなことに繋がる原因が1兆個くらいあってそのせいでスタジアムに居合わせている観客やテレビの視聴者が観てる演奏の音を台無しなることを考えれば、俺はこれについてのNFLの立場はよくわかるよ。これについて論議の余地なんてないし、NFLは劣悪なサウンドでショーを台無しにするつもりは毛頭ないと、そういうことなんだ。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズの口パクやテープ演奏についての姿勢は基本的に絶対にやりたくないというものなんだ。そういうことを最後にやったのは(あるいはやろうとしたのは)80年代末の頃のことで、リハーサルで口パク演奏を俺たちがしっかりやろうとしなかったから、そのせいで俺たちはイギリスの『トップ・オブ・ザ・ポップス』という歌番組からそのまま出入り禁止を喰らうことになったんだよ。その時、俺は(テープ演奏に合わせて)ベースを自分の靴で弾いたりしてて、ジョン(・フルシアンテ)はアンソニーに肩車されながらギターを弾いたりしてたし、基本的にただのプロレスごっこになっちゃって、本当の生演奏だと見せかけることをそうやっておちょくってたわけなんだ。

その前にも1度か2度、変なMTVの番組でも口パク演奏はやったことがあって、それもやっぱりすごく気が引けたよね。俺たちは自分たちの音楽演奏についてすごく真剣に考えているし、演奏は俺たちにとって神聖なもので、(バークレイズ・センターでのライヴのように)俺たちをライヴで観たことがあるのなら誰だって俺たちが心からの演奏をしていて、自由に即興もやっていて、音楽的な冒険も試みていて、ライヴの度に血のような汗を流しているということはわかってもらえているはずだと思うよ。俺たちはずっと31年間そういうことをやりながら、旅巡業を続けてきたんだからね。

というわけで、今回のスーパー・ボウルのライヴ・コンセプトの話が持ち上がった時、俺たちの間でもやるべきかやめるべきかで混乱状態に陥ったんだけど、でも、最終的にこれは本当にシュールで、一生に一度あるかないかのクレイジーなイヴェントなんだから、みんなで楽しもうってことでやることに決めたんだ。みんなでやろうと賛成する前には俺たちも時間をかけてよく考えてみたし、それだけじゃなくてそれぞれにもいろいろ話し合ってみたわけで、俺だったら俺が一番尊敬しているミュージシャン仲間とかにも相談してみたんだけど、みんなも自分たちに声がかかったらやるはずだって言ってくれて、むしろこれをやれるっていうのはとんでもないことだし、何も構うことなんかないじゃないかってことだったんだ。それと俺たちRHCPは全員フットボールも大好きだから、それも今回の決断には大きくはたらいたね。俺たちとしては、アンソニーが生で歌えるんだったら、俺たちがパフォーマンスに込めている信念と自由もきっと伝えられるはずだと判断したわけで、それにもちろん、今回使った音源だってこのライヴのために特別に一音一音新たにレコーディングしたものなんだよ。俺はブルーノにも会って話もしたけど、すごくいいやつだし、ミュージシャンとして本物の才能に恵まれていて、一緒にすごく楽しそうなものを仕込むことができたんだよ。

それでこの日のためのトラックとして俺たちはここ数年、ギターに愛すべきジョシュを迎えてから演奏しているヴァージョンの、俺たちの気持ちに一番忠実な演奏を心から叩きつけてみたわけなんだ。

実際のパフォーマンスではジョシュ(・クリングホッファー)、チャド(・スミス)と俺は事前にレコーディングしてある音に合わせて演奏しているわけだから、シールドを繋げる必要もないし、だから、ステージでも繋げてなかったんだよ。たとえば、楽器演奏が実はあらかじめレコーディングされていたことにがっかりしたと言っているような人たちを驚かせないように、シールドを形だけでも繋げておくことはできなかったのか? もちろん、簡単にできたはずだし、そうしたらなにも問題にならなかったはずだよ。でも、俺たちは振りをして装おうのはやめようということにしたんだ。あの状況ではあれが一番リアルなやり方かなと思えたんだ。生ヴォーカル以外では、とんでもない数の人たちの前で音楽ビデオを作っているような気分だったし、それも本番一発限りのものだったんだからね。俺たちの思いは、俺たちの気概をみんなに届けたいっていうことにあったんだよ。

俺は今回招待してもらえてNFLに感謝しているよ。それとめちゃくちゃ才能に溢れた若手のブルーノが自分のライヴに俺たちを呼んでくれたことを感謝している。また、同じことがあったとしたら、俺はまったく同じように答えるはずだよ。

俺たちはバンドとして、ミュージシャンとしてまたソングライターとして常に成長することを目指しているし、脳味噌ぶっとびな内容を期待しているみんなのためにこれからもライヴ・ステージでは血反吐をぶちまける勢いでやり続けていくよ。

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