フィリップ・シーモア・ホフマンについてキャメロン・クロウ監督が振り返る

フィリップ・シーモア・ホフマンについてキャメロン・クロウ監督が振り返る

2月2日にヘロインの過剰摂取で急死した名優フィリップ・シーモア・ホフマンだが、自身の出世作として知られる2000年の映画『あの頃ペニー・レインと』の監督で原案者でもあるキャメロン・クロウがこの作品でのフィリップについて自身のオフィシャル・サイトで振り返っている。

『あの頃ペニー・レインと』は若きロック評論家として世に出たキャメロンの実体験をベースにしたフィクションとなっていて、物語はロック評論家志望の少年とロック・バンドのグルーピー少女との恋を描いたものになっているが、この物語に登場する実在の評論家レスター・バングスをフィリップが演じて一躍フィリップは名優として評判を上げることにもなった。

無頼派評論家として知られたバングスへのフィリップのアプローチをキャメロンは次のように回想している。

「僕のこのシーン(レスターが主人公ウィリアムに対して電話で、バンドと真の友情を築きたいのなら記事では正直に、バンドに対しては無慈悲に書くべきだと助言する)の元々の構想は、深夜にレスター・バングスから電話で猛々しい宣告を受けるというニュアンスだったんだよ。(主人公のウィリアムに先輩評論家としてレスターが)喝を入れるというシーンだったんだ。でも、フィルの手にかかるとまるで別のものになっちゃったんだ。どちらも曲がり角に差しかかって、どちらも傷を負って、どちらも夜更けまで煮詰まっている、そんな二人が共有する真実を確認し合うシーンになったんだ。テイクの間、フィルは誰とも話さなかった。ヘッドホンをかけて他の誰をも遮断して、ヘッドホンではレスターの言葉だけを聴いていたんだ(ウォークマンでレスターのレア・インタヴューをいくつも聴いていたんだよ)。シーンを撮り終えてみると、フィルが魔法を成し遂げてみせたことに僕は気がついたんだ。言葉や脚本を超えて、僕たちの間でも実際に会ったことがあるのはごく一握りというレスター個人の魂と苦しみをフィルは探し出してみせたんだよ。突然、これでこの描写は完璧になったんだよね。あの時のスタッフと僕はね、フィルの天才ぶりをかぶりつきで観させてもらったことをずっとありがたく思うはずだよ」
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