アーケイド・ファイアのウィン、映画『her/世界でひとつの彼女』の音楽について語る

アーケイド・ファイアのウィン、映画『her/世界でひとつの彼女』の音楽について語る

3月2日に開催される今年のアカデミー賞授賞式で、音楽賞の候補に選出されているスパイク・ジョーンズの新作映画『her/世界でひとつの彼女』だが、そのスコアを手がけているアーケイド・ファイアのウィン・バトラーが『ビルボード』誌のインタヴューに答えている。

アーケイド・ファイアのウィン・バトラーは、映画に関わったことについて「作品全体に関わらせてくれた感じでよかったよ。ただの雇われ職人っていうんじゃなくてね。僕としてはこの映画用に作った音源を『her/世界でひとつの彼女』ボックス・セットとしてリリースしようと冗談で言ってくるくらいでね」と語り、自身の肩の入れようを明らかにしている。

また、主人公ホアキン・フェニックスの相手役となる(ただし、声のみの出演)女優がサマンサ・モートンからスカーレット・ヨハンセンに代わったことで、作曲面に影響は出たかという問いにウィンは「高踏的なコンセプトから二人の人間についてのものへ」とドラスティックに変化したと語っている。
「『ブレードランナー』的な世界だったのが、だんだんとピアノを中心とした、派手さを避けた、ストリングスと温かい音色のシンセサイザーを組み合わせたものになっていったんだ」とその変化を説明している。

特にしんどかったのは最後の6分間のシーンにつかった楽曲で、「2日で10テイクくらいはやった」という。
「バンドで作業をやっているとね、すごく押したり引いたりの作業があって、まっすぐな直線で考えるのとはすごい違いがあるんだよ。僕たちはただのロック・ミュージシャンだからさ。やり方とかまるでわかってないんだよね。ただ、やるだけの話であって」

また、映像がブラックアウトして音声と物音だけで描かれる作品中の濡れ場の音楽についてウィンは次のように語っている。
「この作品の中で一番『風と共に去りぬ』的な映画音楽になってるんだ。でも、このシーンの音楽は終えられるとは思わなかったよ。映画に取り組んでいられる最後の日にやった曲だったし。スパイクにも『アルバムを出さなきゃならないから、ちょっとモードを変えなきゃならないんだ。映画への作曲をやってくれる人を他に雇って貰わないと無理かもしれない』って話してたんだ。その最後の日に僕がピアノを弾いて、ティム・キングスベリーが夢遊するようなギターを弾いてくれて、確かたったの1テイクで、エモーショナルな部分の核を摑んだんだよね。背筋がぞわっときて、『これはうまくいった。魔法が働いてるよ』って思ったんだよ」
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