【JAPAN最新号】米津玄師ロングインタビュー。シングル『KICK BACK』、アニメ『チェンソーマン』を語る

【JAPAN最新号】米津玄師ロングインタビュー。シングル『KICK BACK』、アニメ『チェンソーマン』を語る

シリアスなものがポップになっていくっていう。
全部めちゃくちゃにすることによってポップになっていくっていう。これは素晴らしい

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号に米津玄師が登場!

シングル『KICK BACK』、アニメ『チェンソーマン』を語る

インタビュー=山崎洋一郎 撮影=小浪次郎


米津玄師の新曲“KICK BACK”が世間のチャートと話題のNo.1を総なめにしている。それはいつものことだし、超傑作アニメ『チェンソーマン』のオープニングテーマなのだからなおさら当然だ。そして言うまでもなく名曲であり、同時に超ポップである。これもまた米津の作品なのだからもはや当然である。
だがそれだけではない、ということを僕はくれぐれもここで強調しておきたい。“KICK BACK”は、米津玄師史上においても際立って斬新な、画期的な曲なのだ。さらに、2022年のポップミュージックシーンにおいて他にはない画期的な曲でもあるのだ。どこが画期的なのか。それは、この曲がロックンロールであるという点だ。
たった3つのギターのコードと性急なエイトビートとシャウトがあれば世界は変わる――それがロックンロールの原理だ。でも今どきそんなものを信じてる奴はいない。バンドマンだってPC使えなきゃ話にならないし、恋愛ソングを歌って共感を得なきゃならないし、SNSでバズらなきゃならない。歪んだエレキギターをかき鳴らして本音をぶちまけて叫べばいい、なんてことは2022年じゃとても成立しない。だが、この“KICK BACK”ではそれが成立しているのだ。しかも、ロックバンドではなくボカロPとしての出自を持ち、ロックカルチャーにいっさい依存せずに独自の音楽性と世界観を築き上げてきた米津玄師が、ぶっちぎる形でそれをやってしまったのである。常田大希の危ない金属片のようなギターカッティング、ヘヴィなドラムのフィル、米津の歪んだヴォイス、《幸せになりたい 楽して生きていたい/全部滅茶苦茶にしたい 何もかも消し去りたい/あなたのその胸の中》というド直球の歌詞、そして全編にわたって引用されているモー娘。の“そうだ!We’re ALIVE”――それらすべてが渾然一体となって、まるで奇跡のように2022年のロックンロールとしてあっけらかんと成立している。衝撃的である。もちろん構成は緻密に計算され、音声データは細かくエディットされ、仕組みや仕掛けも細部にわたって施されている。でもこの曲の本質はそこじゃない。まるでデンジの頭から出るチェンソーのように、このクレイジーなロックソングが唐突に2022年に成立したということ、それこそがこの曲の画期的にすごいところだ。
そもそも米津玄師はこうした「ロック衝動」を常に抱えているアーティストである。なぜ、今、それを曲としてストレートに表現することができたのか。じっくりと語ってもらった。(山崎洋一郎)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年1月号より抜粋)



【JAPAN最新号】米津玄師ロングインタビュー。シングル『KICK BACK』、アニメ『チェンソーマン』を語る - 『ROCKIN’ON JAPAN』2023年1月号『ROCKIN’ON JAPAN』2023年1月号
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