JAPAN11月号のインタビューで「シャイトープは『歌』を表現することに全身全霊をかけている」というようなことを語ってくれたけれど、ライブではダイナミクスを増すタカトマンのドラムとふくながまさきのベースが、佐々木想の「歌」を更に美しく縁取り、すべての曲の物語を何倍にも増幅させていた。少しBPMを落として呟くように言葉を散らしながら始まった“ランデヴー”は、透明な雨の降りしきる秋の渋谷の空気と、客席に漂う無数のパーソナルな想い出と呼応して、どこか神聖ささえ感じさせる名演だった。
本編最後の佐々木のMC。「すべての人の人生の喜びと悲しみと日常にある些細な幸せに寄り添いたい」という想いは、今日La.mamaにいた200人には確実に浸透していて、シャイトープは単に曲をヒットさせるだけでなく、近さと親密さを保ったまま、この200人を10倍にも100倍にも広げていけるバンドだと強く実感したライブだった。(畑雄介)