現在発売中のロッキング・オン6月号では、イギー・ポップのライブレポート&インタビューを掲載しています。
以下、本ライブレポート記事の冒頭部分より。
文=高見展
07年にザ・ストゥージズとしてフジロックフェスティバルに出演して以来、ソロとしては03年にフジロックに出演して以来の来日を果たしたイギー・ポップ。今回はパンク・スプリングの東京公演のヘッドライナー、そして東京での単独公演に臨むことになったが、単独公演の方は、相変わらずのパワーとエネルギーをでたたみかける圧倒的なライブとなった。スペシャルゲストのザ・クロマニヨンズのセットに続いて、20時直前にイギーとバンドは登場し、まずは70年のザ・ストゥージズの『ファン・ハウス』からの“T.V.アイ”からたたみかけていく。
いきなり1曲目から黄色いシャツを脱ぎ捨てて、さらさらヘアーをなびかせながらムキムキボディを波打たせていく。これはすごい。なにがすごいかって、まったく衰えを感じさせないからだ。それから73年の“ロー・パワー”と続き、さらに爆裂的ハイエナジー曲“I Got a Right”を叩きつけるとザ・ドアーズの雰囲気をまとった“ギミー・デンジャー”とストゥージズ・ナンバーでのっけから押しまくってくる。
ゴッドファーザーオブパンクとか、プロトパンク(パンクの源流)と呼ばれることも多いイギーだが、基本的にイギーやストゥージズがやっていたことは、ロックンロールとガレージロックとR&Bやブルースだ。それは、イギリスから襲来したビートロックとそのルーツとなったR&Bを頑なに追求するスタイルで、同じミシガン州出身のMC5や60年代末に活躍したほかのガレージロックバンドとも共通するものだった。
特にイギーやストゥージズ、あるいはMC5らに際立っていたのは、このビートロックとハードなR&Bに固執し、その後隆盛したサイケデリックポップや洗練されたポップサウンドやロックサウンドにまったく与しようとしなかったことだ。そして、それは当然、その後のニューヨーク・ドールズらのニューヨークパンクに繋がるガレージロックとなって、それがまたロンドンに波及していったのだ。今回のツアーバンドも、ホーンセクション2名とキーボードでバンドに厚みを加えていて、こうしたところにイギーの自分のルーツへのこだわりがよく感じられた。
(以下、本誌記事へ続く)
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