15年周期のポップ黄金律、再び

ELO『アローン・イン・ザ・ユニヴァース(デラックス・エディション)』
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ALBUM
昨年のフェスへのヘッドライナー出演、今年2月のグラミー授賞式でのエド・シーランとの共演など、確かに予兆はあった。が、前々作『バランス・オブ・パワー』~前作『ZOOM』と15年周期を描いてきたポップの彗星=ELOが、まさかさらに「その先」の軌道を描くとは。そして、一点の淀みもないメロディ・メイカーたるジェフ・リンが、ここまでタイムレスなマスターピースを携えて僕らの前に戻ってくるとは。これがポップの魔法でなくて何だ?ってくらいに、冒頭の“ホエン・アイ・ワズ・ア・ボーイ”からボーナス・トラック含め全13曲・41分にわたって心の琴線をまさぐりまくるメロディが惜しげもなく次々とあふれるこの新作『アローン・イン・ザ・ユニヴァース』には、どこか畏怖にも似た感激を覚えずにはいられない。

最低限の楽器音と極上のハーモニーだけで組み上げられたアンサンブルが、ジェフ・リンの麗しの歌声&ポップへの晴れやかな執念と乱反射し合って、ヴィンテージ感満載の音空間を生み出している今作。あらゆるエッジやヘヴィネスを削ぎ落とした、UKの歴史と「今」をつなぐ黄金律がここにはある。(高橋智樹)