来年3月11日になんと20年ぶりとなるニューアルバムが遂に発売される。それに先駆けた形の1stシングル表題曲はライヴでも披露済みなので、知っている人も多いだろう。また、既に劇場公開中の紀里谷和明監督のハリウッド進出作・映画『ラスト・ナイツ』のTVCM曲にも起用された。

イントロから切なくも優しいピアノの旋律に耳を奪われ、スーッと入ってくるストリングスの荘厳な響きが胸に沁み入る。それからヘヴィなギターリフが勇壮に刻まれ、サビで一気に突き抜けるメロディとそれを追いかける重厚なコーラスワークの煌めきもため息が漏れる美しさ。曲調的には聴く者を焚き付けるスピードメタルでもなければ、しっとり聴かせるバラード風でもなく、ミディアム調の聴きやすいテンポ感で進む。大仰な仕掛けやトリッキーなアプローチは控えめに、今のX JAPANとしての王道感を貫いたサウンドである。その直情的なエモーションの発露が、波紋のごとく聴き手の中でじわじわ広がり、ドラマティックな心情へと自然に導かれてしまう。色褪せない名曲の誕生だ。（荒金良介）