ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのレア音源はキリがない。自分も以前はいろいろと手を尽くして集めたものだけど、それでもやはりこうして正規でリリースされるもののクオリティは特別。とあらためて唸らされた本作。1969年の11月にサンフランシスコで2日間にわたり行われたライヴを完全収録したもので、CD4枚組で全42曲。うち未発表音源は9曲。当時のヴェルヴェットはすでにジョン・ケイルが脱退し、ルー・リードも翌年の夏にはバンドを去ることになる、非常に微妙な状況に置かれたタイミング。同年の春にリリースされた3rdはまがうかたなき傑作だが、ライヴ・バンドとしては……という個人的な評価が根強かったが、いやはや。このディスクには、ピークを超えながらも初期の形容し難い荒々しさをまだ演奏の端々に留めていたヴェルヴェットの、いわば最後の爆発のワン・シーンが鮮明に記録されている。1stや2ndの楽曲が強烈だが、なかでもやはり“ヘロイン”や“シスター・レイ”は既発音源ながら何度聴いても鳥肌を禁じ得ない。朽ちぬサイケデリック・ミュージックの鋳型(Matrix)がここに。(天井潤之介)