その主役である西海岸ギャングスタ・ラップの開祖N.W.A.関連の旧譜3枚が再発。今回初めて全曲歌詞対訳が同梱されたのが売りだ。カリフォルニア・ダウンタウンのゲットー、コンプトン地区を徘徊する若きチンピラ達のストリート・ライフをとことんリアルに描いたリリックを知ることで、彼らの背景はより理解しやすくなる。東海岸の雄パブリック・エナミーと並び称されたキレのいいトラック・メイキングと西海岸らしいヌケのいいサウンドも気持ちがよく、聴き物だ。
まず聴くべきは映画題名にもなった『ストレイト・アウタ・コンプトン』だろう。彼らの正式なファースト・アルバムであり、アイス・キューブ、ドクター・ドレー、イージー・Eという傑出した才能が止揚した見事な傑作である。個人的にはこの頃のラップが一番燃えましたねえ。(小野島大)