海外メディアによる2013年の年間ベスト企画では、メタル部門のみならず総合枠でも上位にランクインされまくった大ブレイク作『サンベイザー』に続く新譜。アンタイ移籍第1弾アルバムでもあり、本国では昨年リリースされて2015年の年間ベストに選ばれていたりもするのだが、ここ日本ではフジロックの出演決定を受け、ようやく国内盤で発売されることになった。

ブラック・メタルのトレモロ・ギターやブラスト・ビートに、シューゲイザーやポスト・ロックなどを融合し、ポスト・ブラックとかブラックゲイズなどと呼ばれる音楽性で、エクストリーム・ミュージック最前線にある先鋭性と同時に、不思議なキャッチーさも備えている。それが今作では、さらなる完成度の高さを達成している。2012年の初来日と2014年の再来日、どちらもライヴを観ているが、やはり『サンベイザー』で覚醒し、メンバーも5人で固定したことが大きいようで、2度目の日本公演では一皮も二皮も向けたパフォーマンスを見せていた。それだけに、近年のツアーで掴んだ勢いと充実感を、スタジオ録音の新作にも反映できたのだろう。（鈴木喜之）