NYでのフェス出演にぶつけるタイミングで3年ぶりに登場した新音源は『ザ・モダン・エイジ』以来のEP（新曲3＋リミックス）という変化球。彼らにとってはジュリアンのカルト・レコーズからの初リリースでもあり、新装開店の印象を受ける。

タイトルをそのまま収録曲に当てはめれば、なるほど「過去」＝M3はタイトなギター・ポップ、「現在」＝M2のグルーヴィーなツイン・ギター構成＋パワー・バラッドは前2作に交じっていてもおかしくない。そしてもっとも気になる「未来」＝M1は、ニュー・オーダー調のゴシックなベース・ラインに絡みつき牽制する多彩なギターの音色にSF映画調の壮大なシンセと、ジュリアンがザ・ヴォイズで展開したサイバーパンク／ディストピア色を継承しつつ、彼ららしいひねりと優雅さとでまとめた出色なトラックになっていて喝采を惜しまない。前作『カムダウン・マシン』に欠け気味だったヴォーカル・演奏双方の「牙」が戻ってきた――とりわけM1の歌詞は、彼らにしては珍しく社会に対するコメンタリーで目を引く――のは、何よりの朗報だろう。続くフル・アルバムへの期待が募る。見事な予告編。（坂本麻里子）